レアル・マドリードのモドリッチがますます輝く理由。風間八宏は「止める技術が抜群にうまい」と指摘

  • 中山 淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

いつでもボールを蹴れる状態になっている

「相手にボールを奪われないためには、相手からボールを隠すような場所に置くとよく言われますが、それだと次のプレーに移る前にボールの置き場所を変えなければならないので、プレーのやり直しになってしまう。また、相手の身体能力が高ければ、そのまま強引に奪われてしまう可能性もあります。

 要するに、本当の意味で相手にボールを奪われない場所とは、相手が自分の懐に飛び込めない場所になります。モドリッチのように、一度でその場所にボールを静止させることができれば、簡単にボールを奪われません」

 風間氏の話を聞くと、いかにベストな場所にボールを止める技術が重要であるかがよくわかる。そして、それが素早くできるからこそ、モドリッチの武器でもある正確無比なパスも生まれると指摘する。

「自分にとってベストな場所にボールを置く、イコール、いつでもボールを蹴れる状態になっているということ。モドリッチの場合も、ボールを動かさないで、自分がパスしたいタイミングで蹴ることができる。もちろん、キックの技術と球種が並外れているところもありますが、まずはその前提として、自分にとってベストな場所に置けているからこそ、あの正確無比なパスが生まれるのです。

 しかもモドリッチは、体の正面中央にボールを置きながら、正確なアウトサイドキックができるのがすごい。一般的に、右利きの選手であれば、アウトサイドキックは体の正面やや右側にボールを置いて蹴りますが、モドリッチは中央に置いてもそれができる。

 さらに言えば、同じ場所にボールを置いた状態で、アウトサイド以外のすべてのキックが正確にできるのも特徴です。だからベストなタイミングで状況に合わせたキックを使い分けられる。相手にとっては、次のプレーが読みにくい選手ですよね」

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