今季ラ・リーガ総括でスペイン人記者が選んだベストイレブン。久保建英の評価も聞いた (3ページ目)

  • マリオ・コルテガナ●文 text by Mario Cortegana
  • 髙橋智行●翻訳 translation by Takahashi Tomoyuki

久保は進化したとは言い難い

MF/久保建英(マジョルカ/日本)

 2019年のレアル・マドリード加入後、3回目のレンタルとなった久保建英の今季のスタートは、明るい未来を感じさせるものだった。

 昨季までは間違いなく彼に足りなかった、最後の局面でより積極的にプレーするという点を改善し、以前よりもペナルティーエリアに近いところで勝負しようと努めたことは評価したい。

 しかしヒザの重傷によりその勢いが衰えていった。さらに不運だったのは、彼がいつの日か自分が戻る場所になることを夢見ている、サンティアゴ・ベルナベウに初めて訪れた時に起こったことだろう。あの夜、彼はゴールに迫るも精度を欠き、最終的に痛い挫折を味わった。

 それでも2カ月間の過酷なリハビリを経て、昨年末のアトレティコ・マドリード戦で決勝点(2-1で勝利)を記録したことは久保にとって、大きな自信につながったと思われる。

 だがその後、連敗の悪い流れがチーム全体に蔓延するとともに、久保もパフォーマンスを落とし、ルイス・ガルシア監督の解任につながっていった。代役としてハビエル・アギーレが就任したが、彼にとって久保は絶対的な存在とは言い難く、トレーニング中のパフォーマンスを公然と批判することさえあった。

 また久保はパワーの差により相手に競り負けるシーンが度々あり、先発出場しても体力不足によりほとんどすべての試合で最後まで持ちこたえることができず、フィジカル面の問題が浮き彫りになった。

 今季は選手としても個人としても成熟する助けにはなったとは思うが、進化したとは言い難く、リーガが終わりに近づくにつれ、久保がアンチェロッティ監督指揮下の来季のレアル・マドリードで居場所を確保する力がないことが明らかになっている。

 そうでなくとも現時点ではEU圏外枠に空きもない。そのため2024年に切れる契約について、今後クラブと延長か売却かというジレンマに直面するだろう。

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