今季の欧州日本人選手MVPを識者が選出。中村俊輔以来のインパクトを残した選手も (3ページ目)

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日本人選手の門を広げた古橋亨梧

冨安健洋(アーセナル)

 プレミアリーグの強豪クラブでレギュラーになった時点で、頭ひとつ抜けている。右サイドバックでの起用が多くなったが、絶大な存在感を発揮。プレー判断、ボール技術、そしてインテンシティも高く、右サイドを支配した。復帰戦でクリスティアーノ・ロナウドを完ぺきな間合いで抜き去り、苦し紛れのファウルを受けたシーンなど、「モンスター」ぶりを象徴していた。左サイドバック、センターバックでもいかんなく力を発揮しており、来季以降はさらなる活躍が見込める。

古橋亨梧(セルティック)

 入団直後から、EL予選連続得点やリーグ戦ハットトリックなどで、ひとつのセンセーションになった。爆発的なスピードと足を振る技量は、欧州でもトップレベル。ハムストリングのケガでシーズンの半分近くを棒に振ったにもかかわらず、復帰後は上位グループのプレーオフで貴重なゴールを連発している。カップ戦などを含めると、シーズン計20得点で大台に乗せた。彼の活躍が、「他の日本人選手の門戸を開いた」と言っても過言ではなく、その点では中村俊輔以来のインパクトと言えるかもしれない。

久保建英(マジョルカ)

 王者アトレティコ・マドリード戦でのプレーは華々しかったが、全体的には「伸び悩んだ」のも事実だろう。チームの順位や本人の得点数など、データ上では久保よりいい成績をあげた日本人選手はいる。しかし、リーガ・エスパニョーラでレギュラーを取るということ自体、高く評価すべきだろう。たとえば、ベルギーでは目立つ活躍を見せた日本人選手は多いが、8得点の原大智(シント・トロイデン)はすばらしい活躍だったとはいえ、リーガ開幕前にトライアルを受けたアラベスでは「練習生止まり」だったというのが現実。リーグに2ランクほどのレベル差がある。

南野拓実(リバプール)

 プレミアリーグは先発出場1、チャンピオンズリーグは4試合出場で先発は2試合。シーズンを通じ、控え選手の域を出なかったのは確かだ。しかし、所属するリバプールはプレミアで優勝争いをし、CL決勝に進出するなど世界トップのクラブである。モハメド・サラー、サディオ・マネ、ディオゴ・ジョッタ、ロベルト・フィルミーノ、ルイス・ディアスなどワールドクラスの選手がライバル。このような環境でプレーしている日本人選手はひとりもいない。リーグカップでは3試合連続得点で、決勝は控えだったが、戴冠を祝している。FAカップでも3得点を記録し、同じく決勝はメンバー外も、優勝に貢献した。合計24試合出場10得点は、けっして悪い結果ではない。

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