「『鎌田はできない』の声をやっと見返すことができた」。EL優勝で号泣の鎌田大地が赤裸々に語ったサッカー人生 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

サッカー人生で初めて報われた

 そのサッカー人生は、評価がついてこないことへの悔しさ、苦しさを、我々が想像する以上に抱えてきたものだったようだ。

「僕自身、あまり日の目を浴びず、難しいサッカー人生を過ごしてきて、そういうことを思い出して、やはりやり続けることは大事だなと思うんです。僕自身はどちらかと言うと、そういう星に生まれているというか......。

 同じことをやっても、まったく違う見られ方をする選手もいるし、僕は常にマイナスに見られていて、中学校の時も高校の時もそうだし、プロに入った時もそうだった。『(鎌田は)できない』と思ってる人たちを、こうやって見返すことができたと思います。これからも僕は、そうやって自分のサッカーをしていくだけですけど、僕のサッカー人生で初めて報われた瞬間だと思うし、本当に嬉しかったです」

 ガンバ大阪のジュニアユースからユースに昇格できなかったこと、ドイツに来たもののフランクフルトで評価が得られず、シント・トロイデンにレンタル移籍したこと......苦しかった思いが一気に蘇ったようだ。

 今季の開幕前、鎌田は昨季の活躍を受けてステップアップの移籍が決定間近だった。だが、結果的にフランクフルトに残留することになり、精神的には苦しいなかでのスタートとなった。

「正直、(今季は)このチームにいると思ってなかったし、僕自身としてはある程度、違うところに行くという感覚だったので、残留することになって、頭のスイッチの部分だったり、コンディションの部分だったりがうまくいかなくて。監督が代わってチームの姿も変わったし難しいシーズンでしたけど、こうやって、終わりよければすべてよしだと思います。よく巻き返せたなと思います」

 この日は得点できなかったが、EL5得点はチーム内得点王だ。ただ、それもあくまでチームの戦いの成果だと強調する。

「うちは今年、ヨーロッパリーグに関してはすごいものがあったと思う。グループリーグの初戦でGKケビン・トラップが後半ロスタイムにPKを止めたところから始まって、逆転勝ちのような試合が多くて、何かヨーロッパリーグは違うな、という感覚がありました。

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