柴崎岳の今季をどう評価するか。スペイン2部に定着、直近の試合ではプレーに明暗 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

1部のMFに遜色ないキックの質

 スペイン挑戦以来、ずっと指摘してきたことだが、こうした局面でのディフェンスの弱さは柴崎の課題であり続けている。対人プレーでの劣勢は明白。五分五分のボールの争いで負けることが多く、それはトップレベルのボランチとしては死活問題となる。

 ただ、柴崎が恃(たの)みにされる理由もある。

 後半5分、敵陣で味方がパスカットしたボールを、レガネスは左サイドから攻め上がる。クロスは相手にブロックされたが、エリア外にいた柴崎がすかさずダイレクトでミドルを狙う。これが相手に当たってコースが変わり、ゴールネットを揺らした。2-2とする同点弾になったが、技量の賜物だった。

 本拠地で同点に追いつき、攻めに転じたレガネス陣営にあって、柴崎はパスの質の高さでゲームを演出した。サイドチェンジひとつをとっても、目覚ましかった。攻撃面のタレントでは、1部のMFたちと比較しても何ら遜色はない。トップ下に入った時のキックの質は、2部ではもったいないほどだ。

 しかし後半19分、またも弱さが出る。味方が二度、空中戦で負けたのも大きかったが、柴崎は前に出て相手ボールホルダーに立ちふさがるべきところ、バックステップを踏んでしまい、逆転弾を撃ち込まれている。味方ディフェンスが柴崎に文句を言っているように映ったが、ボランチには前でフィルターになってほしかったはずだ。

 後半31分、パワーダウンした柴崎は交代を命じられている。

 1試合を通じて見れば落第点がつくプレーではない。『アス』紙の評価も1(0~3の4段階)で、可もなく不可もなし、だった。しかし、得点を決めた選手は2以上になることが多いので、マイナス面があったということだろう。結果は、一度は追いつきながら2-3の逆転負け。外国助っ人のボランチとしては物足りない、といったところか。それが、柴崎が直面する現実だろう。

 今季の柴崎は一定の評価は与えられる仕事をしている。ここまで40試合中31試合に出場、うち先発は25試合という数字は何よりの証左だろう。2部はFIFAの代表ウィーク中も試合が開催されるだけに、日本代表に招集された何試合かは欠場を余儀なくされ、コンディション面での難しさもあった。

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