鎌田大地、ヨーロッパリーグ決勝を前に「別にドキドキしてない」。地元では「オイロ・ダイチ」とゴールに期待

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by picture alliance/AFLO

「オイロ・ダイチ」とドイツメディアは鎌田大地を呼ぶ。オイロとはEUROのドイツ語読み。ここではヨーロッパリーグ(EL)のことを指す。

 なぜか。鎌田がブンデスリーガよりも欧州の舞台で結果を残してきたからだ。ただし、今シーズンに限った話ではない。ファンがイメージするのは、今季の鎌田ではなく、むしろ2019-20シーズンの鎌田だ。アーセナル、セビージャ、ザルツブルクとの3試合で合計6得点を決めた時の印象が強いのだ。

 フランクフルトの地元紙、『フランクフルター・ルンドシャウ(FR)』は4月5日、そんな「オイロ・ダイチ」の復活を「準々決勝バルセロナ戦勝利への11要素」と題した記事で要素のひとつにあげていた。「強気でいくこと」「ホームスタジアムの後押し」「運」などを挙げるなかで、7つ目の要素として鎌田が必要だとしている。

「今こそもっとゴールを。鎌田はゴール前に突入していける人なのだ。彼は実際にELでの得点を得意としており、(2019-20シーズンの)アーセナル、セビージャ、ザルツブルクでの6ゴールをはじめ、今季も含めると(その時点で)24試合で10ゴールを挙げている。だから、バルセロナに対してもゴールが期待できるかもしれない。今のパフォーマンスは改善の余地が十分にあり、今季は当時ほどのインパクトはないかもしれない。しかし、だからなんだと言うのだ。『オイロ』が名前につくのにはそれだけの理由がある」

 欧州で結果を叩き出してきた実力への信頼は揺るぎない。

ブンデスリーガ最終節のマインツ戦にフル出場した鎌田大地(フランクフルト)ブンデスリーガ最終節のマインツ戦にフル出場した鎌田大地(フランクフルト)この記事に関連する写真を見る ベルギーのシント・トロイデンからドイツに復帰した2019―20シーズンのELでの鎌田はインパクトが大きかった。その前年にELで準決勝までいったチームを再び押し上げる原動力になると期待が高まった(結果はラウンド16でバーゼルに敗退)。しかしその一方で、リーグ戦での初ゴールはコロナ禍による中断があけた5月26日の第28節フライブルク戦まで待たなくてはならなかった。このコントラストの鮮やかさから、「鎌田はブンデスでは苦しむが欧州では絶好調」というイメージがついたのだ。

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