リバプール、M・シティに死角はあるか。CL準決勝は下馬評より競った展開に (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

「左のレアル」をシティはどう止めるか

 シティは実際、強さを誇示することができなかった。最後はアップアップの状態で、勝利は飾ったものの、準決勝に向けてよい終わり方をしたとは言えなかった。

 終わり方という点では、準々決勝でチェルシーを延長の末に下したレアル・マドリードのほうが上回っていた。第1戦(アウェー)を1-3で折り返しながら、チェルシーに3点を奪われ通算スコア4-5とされる苦しい展開。同点に追いつき延長で再逆転する、ドラマ仕立ての劇的な勝利だった。試合後の喜びで、シティを大きく上回ることになった。準決勝が下馬評より競った展開になると期待したくなる大きな理由だ。

 ピッチ上の話をすれば、レアル・マドリードのストロングポイントはハッキリしている。ずばり左サイドだ。成長著しい左ウイング、ヴィニシウス・ジュニオールをシティがどう止めるか。カイル・ウォーカーが右SBとして対峙することになるだろうが、この1対1が、勝負に与える影響は大きい。

 さらにレアル・マドリードには、1トップのカリム・ベンゼマが左に流れる傾向がある。左サイドにベンゼマとヴィニシウス、それに左SBのフェルランド・メンディを合わせた3人構えの態勢になることもある。左サイドは構造的に、レアル・マドリード優位な状況になりやすい。守備に追われる機会が増えそうなシティの右ウイング、リヤド・マフレズの活躍は期待しにくいと考えたほうがいいだろう。

 言ってみれば、右で守り、左で攻めるレアル・マドリードに、グアルディオラがどう対策を講じるか。ちなみに、右ウイングに守備のできないリオネル・メッシを置いたパリ・サンジェルマンは、決勝トーナメント1回戦でレアル・マドリードの軍門に下っている。

 リバプール対ビジャレアルの関係は、ウィリアムヒル社の予想では1.25対11倍の関係にある。ビジャレアルがこの関係をひっくり返したら、それこそ欧州サッカー史に残る大事件として刻まれるだろう。勝って当たり前。受ける立場に回ってしまったリバプールは、やりにくい戦いを強いられることになった。

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