グアルディオラの勝負弱さは「究極のロマンチスト」だから? シティを率いて6年目、哲学を曲げずにCL制覇なるか (2ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

CLとの相性が一転して悪化

 もちろん、監督キャリアを歩み始めてから7回連続でベスト4以上の成績を収めたこと自体は異次元だ。しかし、2016--17シーズンにシティの監督に就任してからのペップは、CLの舞台で"勝負弱さ"を見せるようにもなっていた。

 まず、シティ初年度の2016--17シーズンは、ラウンド16で伏兵モナコと対戦。ホームでの第1戦を5−3で勝利しながら、アウェーの第2戦を1−3で落としてしまい、アウェーゴールの差でまさかの敗退。2試合連続ゴールを決めた神童キリアン・エムバペのセンセーショナルなCLデビューの引き立て役となってしまった。

 2年目の2017--18シーズンは、一歩前進してベスト8に進出。しかし、就任3年目のユルゲン・クロップが率いるリバプールに対し、2試合合計1−5(第1戦0−3、第2戦1−2)というスコアで完敗。苦手としていたクロップの狙いどおりの展開で、無残に散った。

 続く2018--19シーズンにペップの前に立ちはだかったのは、準々決勝で対戦した同じプレミア勢のトッテナムの指揮官マウリシオ・ポチェッティーノ(現パリ・サンジェルマン監督)だった。

 アウェーでの第1戦を0−1で負けたあとのホームでの第2戦は、一転して序盤から激しい打ち合いに。シティは後半59分のセルヒオ・アグエロのゴールで4−2とリードしたにもかかわらず、73分に途中出場のフェルナンド・ジョレンテに決められて4−3となり、2試合で合計4−4。アウェーゴールの差でトッテナムに上回られた。

 しかも、試合終了間際にはラヒーム・スターリングによるゴールで劇的な勝利を収めたかに見えたシティだったが、VARによってオフサイドが判明。壮絶な戦いは結局、ペップとCLの相性悪化を示す象徴的試合にも見えた。

 さらに2019--20シーズンは、コロナ禍で開催された中立地リスボンでの一発勝負で、準々決勝に進出したシティはリヨンと対戦。下馬評では上回りながら、シティ対策として3バックを導入したリュディ・ガルシア監督の術中にハマり、カウンターにやられて1−3で敗退した。

 つまり、それまでベスト4以上しか経験していなかったペップが、シティでは一転、4シーズン連続でベスト4に手が届かない状況が続いてしまったのである。

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