ファン・ハール断言。オランダ伝統の4−3−3で勝つのは「難しい」。がん闘病中の名将はカタールW杯で有終の美を飾れるか (3ページ目)

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

メディアが下した評価は?

 試合の流れを一気にオランダへ引き寄せたのは、フレンキー・デ・ヨング(バルセロナ)のドリブルと正確なキラーパスだ。

 68分、中盤でドイツのプレスをかわしてビルドアップの起点となったフレンキーは、敵陣でボールを再び持った時に右WBデンゼル・ダンフリース(インテル)がハーフスペースに走り込んだのを視野に入れ、高さ・速さ・正確さ・意外性を伴ったミドルパスをゴールライン際に蹴った。これをダンフリースがヘッドで折り返すと、将棋で言うところの"詰み"の状況となり、最後はゴール正面でデパイが潰れた裏からベルフワインが強烈なシュートを決めた。

 その後はオランダが勝ち越しゴールを目指して攻め込み、ヨハン・クライフ・アレナは熱狂の坩堝(るつぼ)となった。しかしながら、1−1のドローで試合は終了。

 3月の2試合を終えて、オランダのメディアが下した評価は以下のとおり。

「FIFAランキングではドイツがオランダよりひとつ上だけど、ワールドカップの優勝候補は間違いなくドイツ。オランダにも優勝の可能性はあるが、現時点で強豪国との差は大きい」

「エリクセンがプレーしたデンマーク戦の後半、ドイツの前線4人にかき回された60分間を振り返ると、オランダはポジションチェンジに対する守備の解決策を見いだせていない」

 フィルジル・ファン・ダイク(リバプール)、マイタス・デ・リフト(ユベントス)、今回負傷で代表から外れたステファン・デ・フライ(インテル)、そしてティンバーと、オランダのCB陣は質量ともに充実している。一見、ファン・ダイク、デ・リヒト、デ・フライの3人でCBトリオを組みそうなものだが、ファン・ハール監督は「左CBにはレフティを置きたい」という意向を持っているため、もしかするとデ・フライ、デ・リヒト、ティンバーのうちふたりが控えに回ることも有り得そうだ。

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る