イタリア代表番記者が怒りの告発。W杯2大会連続予選敗退の真犯人は誰だ (3ページ目)

  • マルコ・パソット●文 text by Marco Pasotto
  • 利根川晶子●訳 translation by Tonegawa Akiko

選手のレベルが低下した理由

 今のイタリアにはレベルの高い選手が少ない。本当に少ない。今回の北マケドニア戦に限ってみても、30本以上のシュートを打って1本も入らないというのは、根本的になにか大きな欠陥がある証拠だ。W杯に出るか出られないかの重要な試合の終盤の攻撃を、クラブの目標が1部残留のチームの選手(ドメニコ・ベラルディとジャコモ・ラスパドーリはサッスオーロ、ジョアン・ペドロはカリアリ)に託さなければならない、それはやはり根っこにある問題が非常に大きいということだ。

「W杯行きを決め、そこで優勝しよう」

 そう言い続けてきたマンチーニは、今、自らの身の振り方を考えているところだろう。何が起こるかはわからない。連盟の幹部たちは残留を望んでいるが(契約は2026年まで)、伝え聞くところによると、彼にあまりその気はないようだ。

 もしマンチーニが代表監督の座を放棄した場合、次にチームを率いるのはファビオ・カンナバーロで、マルチェロ・リッピがテクニカルディレクターに就くのではないかという声が強い。そのほかではアントニオ・コンテやジェンナーロ・ガットゥーゾの名前も挙がっている。

 ただ、イタリアはまだ先のことが考えられる段階にはない。今は傷を舐め合い、原因究明と称してあらゆることで罪のなすりあいをしている段階だ。

「クラブチームにとって、代表チームはただの邪魔ものでしかないのだろう」

 グラヴィナ会長はそう怒りをあらわにしているが、これは代表関係者が皆、感じていることでもある。なぜなら、プレーオフの前にリーグ戦を休んで、マンチーニのためにいいコンディションの選手を提供しようなどと考えるチームはひとつもなかったからだ。W杯を失った場合の経済的な損失は、スポンサーや放映権などを含め1億ユーロ(約130億円)を下らないし、何よりイタリアサッカーのイメージが地球規模でダウンする。クラブチームにも影響がないわけがないのに、それでもクラブは協力を望まなかった。

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