C・ロナウドがやはり個性派軍団の中心だった。ポルトガル代表、W杯まであと1勝 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFP/AFLO

欧州でも屈指の豪華攻撃陣

 41分の2点目のシーンも、相手を押し下げ、DFライン前でオタビオが前を向いてボールを持つ形を作る。オタビオは右足でディフェンスの背後を取ったジョッタの頭にピンポイントクロス。ジョッタは渾身のヘッドでネットを揺らし、変幻の攻撃を見せた。

 ジョッタは予選出場6試合で5得点。ポルトガルに新エース誕生の予感も漂う。リバプールでゼロトップを担当し、スモールスペースでの技巧やサイドから仕掛けるドリブルだけでなく、ゴール前に入る感覚も優れる。相手の背後を取るヘディングは小柄ながらひとつの武器。万能型で集中力が高く、攻守に間断なく動け、計算も立つ選手だ。

 ポルトガルの強みは、攻撃カードが他にも豊富な点だろう。トルコ戦は先発メンバー以外にも、ジョアン・フェリックス(アトレティコ・マドリード)、ラファエル・レオン(ミラン)、アンドレ・シウバ(ライプツィヒ)、ゴンサロ・ゲデス(バレンシア)、3得点目を記録したマテウス・ヌネス(スポルティング・リスボン)など豪華絢爛な控えが並んだ。ケガで欠場のレナト・サンチェス(リール)などメンバー外も含め、人材の宝庫だ。

 それぞれが複数のポジションをこなすのも利点だろう。たとえばB・シウバはサイドアタッカーとインサイドハーフ、モウチーニョはインサイドハーフとアンカーを担当。中盤から前線にかけ、戦い方のバリエーションに富む。

 一方で受け身になると、「自由」は脆さを見せる。

 トルコ戦も、自陣での不用意なボールロストが目についた。後半20分には、自陣から中盤のジョッタにパスを入れた瞬間、うしろからかっさらわれると、リスク管理も十分ではなく、中盤が裏を取られた格好になった。ジェンギズ・ウンデル(マルセイユ)に決定的パスを裏に出され、ブラク・ユルマズ(リール)に一撃を食らい、代償を払っている。

 守備に回ったポルトガルは「堅固」とは言えない。

 トルコ戦はルーベン・ディアス、ジョアン・カンセロ(ともにマンチェスター・シティ)、ペペ(ポルト)という主力DFを、それぞれケガ、出場停止、コロナ陽性で欠いていた。それを差し引いても、主体的プレーで長所が出せるチーム構造だけに、相手にペースを与えた瞬間、綻びが生じる。終盤にはエリア内で足を振りあげてPKを献上し、守りに入った時の頼りなさは明白と言える(PKは失敗)。

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