イタリア代表を襲うW杯予選敗退の恐怖。指揮官マンチーニは「目指すのは優勝」と鼓舞する (3ページ目)

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa akiko

ポルトガルにあってイタリアにないもの

 中盤はニコロ・バレッラ(インテル)、ジョルジーニョ(チェルシー)、マルコ・ヴェッラッティ(PSG)でまず決まりだが、それぞれ所属チームの問題に悩まされ、落ち着かない日々を過ごしている。バレッラのインテルは調子が下り坂で、確実と思えていたスクデット連覇が危うくなっている。ジョルジーニョは、チームオーナーのロマン・アブラモヴィッチがチェルシーを売却したことで混乱に巻き込まれている。そしてヴェッラッティが所属するPSGはチャンピオンズリーグで敗退したうえに、直近のリーグ戦で0-3でモナコに敗れたことで非難を浴びている。

 それに比べると攻撃陣は比較的落ち着いている。チロ・インモービレ(ラツィオ)は、ローマダービーで0-3と大敗をしたが、ロレンツォ・インシーニェ(ナポリ)はチームが2位とスクデットを狙える位置にある。十字靱帯の損傷で、シーズンすべてを棒に振ったフェデリコ・キエーザ(ユベントス)の不在は大きいが、その代わりに右でプレーするであろうドメニコ・ベラルディ(サッスオーロ)は、セリエAでは現在、最も好調の選手のひとりだ。

 選手たちの間に不安に近い緊張があると言ったが、これはすべて悪いことではない。北マケドニアは強いチームではなく、最大のスターはナポリでプレーするエリフ・エルマス。あとはほぼ無名の選手だ。ともすると相手を侮る危険性もあるなか、相手を正しく恐れるのは決して悪いことではない。

 サポーターたちは北マケドニア戦については楽観的だ。イタリアが試合の地に選んだシチリア島の州都パレルモはアッズーリにとってはゲンのいい場所だ。イタリアはこれまでここで15試合を行ない、実に13試合で勝利している(残りは1敗1引き分け)。

 イタリアが北マケドニアに勝利すれば、対戦相手はおそらくポルトガルだ。この試合がかなりハードなガチンコ勝負になることは想像に難くない。そしてサポーターはここで別な力が働くことを恐れている。イタリアにはいわゆるビッグスターがいない。一方、ロナウドの知名度は言うまでもないだろう。

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