イタリア代表を襲うW杯予選敗退の恐怖。指揮官マンチーニは「目指すのは優勝」と鼓舞する (2ページ目)

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa akiko

蘇る4年前の予選敗退の恐怖
 
 試合に向けて準備するアッズーリ(イタリア代表)の空気は非常に張りつめている。4年前、イタリアはプレーオフでスウェーデンに敗れ、60年続いていたW杯出場を逃した苦い経験がある。そのため選手たちの神経はピリピリと逆立っている。プレッシャーを感じすぎるほど感じていて、マンチーニの「ピッチではプレーのみに集中し、まず我々がサッカーを楽しむこと」という言葉もなかなか頭には入らない。北マケドニアのFIFAランキングは67位でイタリアは6位なのだが、恐怖を拭い去ることはできない。

 その緊張に拍車をかけるのが、欠場選手の存在だ。数日前にマンチーニはプレーオフを戦う33名を発表した。

「我々にはあまり時間がない。新たなことを試している時間はあまりない。だから今回はユーロのメンバーを中心に招集した」

 マンチーニはそう言うが、北マケドニア戦では、ユーロで優勝した時の守備陣はGK以外、誰もいないだろう。その唯一のユーロメンバーのジャンルイジ・ドンナルンマも所属のパリ・サンジェルマン(PSG)ではミスが多く、決して好調とは言えない。

 代表の両SBのレギュラーはジョバンニ・ディ・ロレンツォ(ナポリ)とレオナルド・スピナッツォーラ(ローマ)なのだが、ともにケガのためアレッサンドロ・フロレンツィ(ミラン)とエメルソン・パルミエリ(リヨン)になると思われる。

 2人のCBレオナルド・ボヌッチ、ジョルジョ・キエッリーニ(ともにユベントス)も出場は危ぶまれる。どちらもケガと年齢からあちこちに不具合を抱えており、2試合を戦うのは難しい。よりハードな戦いとなるポルトガル戦(トルコ戦かもしれないが)のために温存しておく作戦だ。なにより彼らはクリスティアーノ・ロナウドの元チームメイトでもある。3年間一緒にプレーした経験が役立つことをマンチーニは期待している。

 代わってCBを務めるのはインテルのアレッサンドロ・バストーニとローマのジャンルカ・マンチーニ(もしくはラツィオのフランチェスコ・アチェルビ)だ。どちらにせよ守備メンバーを全取っ替えしたことで、潤滑にはいかないはずだ。バストーニとマンチーニはこれまで一度も一緒にプレーしたことはない。

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