【旗手怜央・新連載】「セルティックの一員になれた」と感じた瞬間。自ら解説する現地でのプレー

  • text by Harada Daisuke
  • photo by Getty Images

ゴールを取ってチームの一員になれた

 対応できるようになるまでには、それなりに時間は必要だけれども、決してできないことではない。そう思えたのは、プロとしてプレーしてきた2年間の成長と言えるかもしれない。そして何より、自分はそうした新しいサッカーに触れるためにヨーロッパに渡ったんだと思い直すこともできた。

 前述したハイバーニアン戦は、合流から間もなかったこともあり、とにかくチームメートに自分のプレースタイルを理解してもらうのを意識して臨んだ。そのため、試合中ではあっても、今まで以上にボールを要求し、つたない英語を駆使して動いてほしいスペースやタイミングについても伝えた。

 アピールの甲斐あってか、前半の途中くらいからは、みんなの意図も理解でき、かつ周囲も自分の動きを汲み取ってくれるようになった。それが、MOMにつながった。

 川崎フロンターレでプレーしているときから目に見える結果にはこだわっていたけど、続くハーツ戦でセルティック加入後、初ゴールを決めることができた。もともとFWとしてプレーしてきた自分のマインドは、今もストライカーのそれだ。1試合でも早くゴールを決めたいという思いは強かっただけに、2試合目で達成できてホッとした。

 同時に、その試合でチームメートから認められたと実感できた。ヨーロッパは実力主義で、結果を残すことで周囲の見る目が変わると聞くけど、デビュー戦翌日から明らかにチームメートの反応が変わった(苦笑)。

 練習前には、「おはよう」という意味も込めてハイタッチをするけど、そのときから明らかにノリが違っていたから。さらにハーツ戦で得点したあとには、「あのミドルシュートすごかったな」と、向こうから話しかけてくれる選手も増えた。

 まさに自分にとっては正真正銘、チームの一員になれたと感じられた2試合だった。

旗手怜央
はたて・れお/1997年11月21日生まれ。三重県鈴鹿市出身。静岡学園高校、順天堂大学を経て、2020年に川崎フロンターレ入り。FWから中盤、サイドバックも務めるなど幅広い活躍でチームのリーグ2連覇に貢献。2021年シーズンはJリーグベストイレブンに選ばれた。またU-24日本代表として東京オリンピックにも出場。2021年12月31日にセルティックFC移籍を発表。今年1月より、活躍の場をスコットランドに移して奮闘中。

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