セリエ、リーガ、プレミアで下剋上。3人の指導者たちによる「反撃の狼煙」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

ビッグクラブでは成功しなかったが...

 ジャマイカ代表FWマイケル・アントニオは国際的には有名とは言えないが、前線で献身的な動きを見せる。売り出し中のイングランド代表MFデクラン・ライスは、堅実なだけでなく攻撃面でも最近は進境著しい。36歳となって峠は越えたと言われてきた元ポーランド代表GKウカシュ・ファビアンスキも、高いレベルを保っている。

 モイーズが香川真司在籍時のマンチェスター・ユナイテッドや、レアル・ソシエダの監督をしていた時は、通り一遍なサッカースタイルに映り、面白味もリーダーシップにも欠けている感があった。しかし、中堅チームで力を発揮できるタイプなのだろう。エバートン時代には3度も年間最優秀監督賞を受けている。

 セットプレーの多彩さもモイーズならでは、だろう。第24、25節には、セットプレーからイングランド人DFクレイグ・ドーソンが2試合連発弾。限られた戦力で勝つ手段を見つけられるのだ。

 3人の監督に共通するのは、指導者として徐々に成果をあげ、ビッグクラブを指揮した経験があるものの、成功を収めたとは言えない点だろう。スパレッティはインテル、ロペテギはレアル・マドリード、モイーズはマンチェスター・ユナイテッドで、突き抜けることができなかった。しかし、不屈の精神で反撃の狼煙を挙げた。

 群雄割拠がどんな物語の結末を用意しているのか――。もちろん、今後はビッグクラブの反撃もあるだろう。そこで生じるぶつかり合いのなかから、新時代の扉が開かれるのかもしれない。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る