セリエ、リーガ、プレミアで下剋上。3人の指導者たちによる「反撃の狼煙」 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Reuters/AFLO

「相手のよさを消す」戦術→小見出

 スペイン、リーガ・エスパニョーラのセビージャは、直近のセビージャダービーを制し、26試合を終えて首位レアル・マドリードを追う2位につけている。

 刮目すべきはやはり守備の堅牢さで、18失点はナポリと同じくリーグ最少。フランス代表ジュール・クンデ、ブラジル代表ディエゴ・カルロスのセンターバックコンビの強固さもあるが、チーム全体で「相手のよさを消す」戦術が浸透した。

 3年目になるスペイン人指揮官フレン・ロペテギの色が強く出ている。ロペテギはスペイン屈指の戦術家で、スペイン代表を率いてロシアW杯の出場権を獲得。レアル・マドリードとの契約問題で大会直前にチームを離れたが、その手腕は高い評価を受けている。

 4-3-3が基本布陣だが、たとえばアンカーのブラジル人フェルナンド・レゲスは神出鬼没に動き、お互いがポジションを補完する仕組みになっている。相手次第で形を変えられる柔軟さが、堅固さを生み出しているのだ。

 セビージャは欧州でも1,2を争うスカウティング力を誇り、高いクオリティの選手を引き入れてきたが、ロペテギの采配力と相まって、最大限の力を出せている。とりわけ前線の選手は常に競争関係が保たれ、アルゼンチン代表ルーカス・オカンポス、モロッコ代表ユセフ・エン=ネシリなど、年ごとにエースが入れ替わる。冬の移籍で加入したメキシコ代表ヘスス・コロナ、フランス代表アントニー・マルシャルも注目だ。

 一方、イングランドのプレミアリーグでは、ウェストハム・ユナイテッドが第27節現在、5位と健闘している。ナポリ、セビージャほどの躍進ではないが、チャンピオンズリーグ出場圏内の4位マンチェスター・ユナイテッドとの勝ち点差はわずか2。トッテナムやチェルシーを下すなど、ビッグ6と言われる人気、資金力で他を圧倒する勢力に割って入っての順位だ。

 デイビッド・モイーズ監督はフィジカル的に強く敢闘精神が豊富な選手を集め、ひとつに束ねる手腕に長ける。

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