長谷部誠がクラブと異例の長期契約を結んだ背景。ドイツ紙も描く相思相愛 (2ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by picture alliance/AFLO

今季は運動量の多い中盤でもプレー

 記事では長谷部をこう紹介している。

「長谷部は"現象"だ。母国では代表チームのキャプテンを長年務め、皇帝として崇められている。本の著書としても評価され、社会的にはサッカー大使として広く認められている。アイントラハト(フランクフルト)は彼の人格を認め、選手としてのキャリアを超えて彼を引き止めた。すでにアジアをターゲットとしたブランドアンバサダーを務めており、23年夏にはプロチームのコーチングスタッフとして参加する予定だ」

 著書にまで触れる詳しさだが、フランクフルトが長谷部の人間性を認めているというのはそのとおりだろう。そうでなくては、「引退後も第一歩はうちから」とはならないはずだ。

 記事では、これまでの長谷部のフランクフルトでの足跡についても触れている。

「加入した2014年、トーマス・シャーフ監督のもとでは脇役に回ったが、その後、アーミン・フェー監督が就任すると中盤や右サイドバックなど、守備的MFを本業とする長谷部にとって慣れないポジションに入ることになった」と指摘。「アディ・ヒュッター監督が就任した時も、最初は定位置がなかった」と振り返っている。そしてこう続ける。

「しかし長谷部は遅かれ早かれ、どのポジションでも、そのときどきの監督を納得させてきた。ヒュッター監督のもとでは3バックの中央でプレーし、これをリベロのように解釈し、プレーの組み立てに極めて重要な役割を果たすようになった」

 長谷部の現状についてはこう評している。

「長谷部はときおり、年齢を垣間見せることがある。中盤での守備で集中を欠くこともある。だが今季は6番(ボランチ)でもプレーできることを証明している」

 今季から就任したオリバー・グラスナー監督がさまざまなシステムを試すなかで、長谷部は中盤でも起用されている。運動量という観点から考えると、筆者にはやはり最終ラインのほうが適任のように見えることもあったが、「プレーできることを証明した」と、合格点を与えている。

 記事は最後に、前述のフィヒテルがシャルケのレジェンドチームで今でもプレーしていることを挙げ、「長谷部とフランクフルトもそんなふうに長く関係を続けるのだろう」と好意的にまとめていた。

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