ユベントスに引き抜かれた現セリエA得点王、ヴラホヴィッチ。走る方向の変化でマークを外す巧みな動き (2ページ目)

  • 篠 幸彦●文 text by Shino Yukihiko
  • 西村知己●イラスト illustration by Nishimura Tomoki

Answer 
中央に行くと見せて、クロスの瞬間にニアへ走り込んでシュート

 ヴラホヴィッチの、ゴール前での駆け引きによる得点シーンである。

クロスが蹴られる瞬間、中央への動きからニアサイドに走る方向を変え、マークを外してゴールしたクロスが蹴られる瞬間、中央への動きからニアサイドに走る方向を変え、マークを外してゴールしたこの記事に関連する写真を見る ゴールキックからのセカンドボールをヴラホヴィッチが前線で収め、後方から走り込むボナヴェントゥーラへとつないだ。そのままペナルティーエリアまで進入すると、ボールは右サイドを駆け上がってきたカジェホンへと展開された。

 そのカジェホンへボールが渡るまでの、ヴラホヴィッチの駆け引きがポイントだ。ボナヴェントゥーラへボールを渡したあと、相手のディミトリオス・ニコラウにマークされながらエリア内に進入していった。

 ボナヴェントゥーラからカジェホンへボールが動くまでの間、ヴラホヴィッチはボールに対してニコラウの背中側にポジションを取り続けた。そしてカジェホンにボールが渡るところでゴール方向へステップを踏んでニコラウを釣ると、カジェホンが蹴る瞬間にニアサイドへと走り込んだ。

 走る方向の変化でほんの一瞬だけマークを外し、ニコラウの前に入ったヴラホヴィッチ。カジェホンからの丁寧なクロスをダイレクトで叩き込み、ハットトリック達成となった。

 シンプルな駆け引きながら、カジェホンとの息の合ったプレーは、非常に洗練されたものだった。移籍先のユベントスは、昨季4位に終わり、今季もここまで5位と元気がない。ヴラホヴィッチの卓越した得点能力で名門を復活させることができるか、注目される。

◆【動画】ドゥシャン・ヴラホヴィッチ 2021-2022厳選ゴール集
(スペツィア戦のゴールは0分58秒~1分20秒)

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