ウーゴの死と複雑すぎるマラドーナの相続争い。野次馬を楽しませる一家のその後 (3ページ目)

  • 三村高之●文 text by Mimura Takayuki
  • photo by AFP/AFLO

【どうなる? 相続争いの行方】

 13年には恋人のベロニカ・オヘダとの間にディエゴ・フェルナンド(7歳)が誕生。両親が離婚した後のことなので、ダルマとジャニンナもこの子を弟として受け入れている。それはジュニアとハナも同様で、母親であるベロニカとの仲も親密だ。遺産相続で兄弟が争うのはよく聞く話だが、マラドーナ家では正妻との子二人対愛人の子二人がはっきり対立し、多数決となれば末っ子がキャスティングボードを握っているという構図だ。

 ディエゴは生前、ユーチューブで、「遺産は全額寄付する。娘たちには生前贈与してあるので、一切渡さない」と語っている。このビデオは残っているが、はたして正式な遺言として認められるのか。サービストークの軽口ともとれる。また正式な遺言だとしても、アルゼンチンの法律では、相続人の同意がなければ被相続人は遺産の3分の1しか自由にできない。つまり、3分の2は相続人に渡るのだ。ただし、「娘たち(ダルマとジャニンナ)には生前贈与してある」との言葉は重い。ジュニアとハナの愛人派は、「我々は生前贈与されていない」と、多めの分配を求めて裁判に持ち込めるからだ。

 話はまだ終わらない。ディエゴは薬物依存症の治療で2000年から4年間、キューバに滞在。そこでも子供を作り、19年に本人が「3人を認知している」と語ったそうだ。またアルゼンチンでも、マガリ・ヒル(24歳)とサンティアゴ・ララ(20歳)が「自分はディエゴの子」だと訴え、DNA検査を求めている。もし彼らも子供と認められれば、相続人は11人となり、サッカーチームができてしまう。

 いかにもマラドーナらしいが、「いや、ディエゴといえば10だ。誰かひとりは認められないほうがいい」などと、野次馬たちはこの騒動を楽しんでいる。

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