パリ・サンジェルマンはメッシ、エムバペ、ネイマールのMMNでCLを獲れるのか。システムの最適解はいまだ見つからず

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

欧州サッカー最新戦術事情 
第7回:パリ・サンジェルマン

日々進化していく現代サッカーの戦術を、ヨーロッパの強豪チームの戦いを基に見ていく連載。第7回は、パリ・サンジェルマン。メッシ、エムバペ、ネイマールの強力攻撃陣で悲願のチャンピオンズリーグを獲りたいが、守備面とのバランスを考えたシステムの最適解には、まだまださまざまな意見がある。

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MMNの同時起用で、パリ・サンジェルマンはCLの頂点に立てるかMMNの同時起用で、パリ・サンジェルマンはCLの頂点に立てるかこの記事に関連する写真を見る

【史上最強クラスのトリオ】

 リオネル・メッシ、キリアン・エムバペ、ネイマール。これほど強烈なアタック・ラインは例がない。

 ガレス・ベイル、カリム・ベンゼマ、クリスティアーノ・ロナウド(BBC)のレアル・マドリードは強力だった。バルセロナのMSN(メッシ、ルイス・スアレス、ネイマール)も猛威を振るった。けれども、パリ・サンジェルマンのMMNはそれらを上回る破壊力を秘めている。

 ところが、3人を並べてチームとしてどうプレーすべきかの最適解は、まだ見出していない。現時点でも3人揃えば破壊力抜群なのは確かで、スペースさえあればいつでも得点を生み出せる力は持っている。3人とも1対1ではまず止められないので、誰かが前を向いただけで相手守備陣の数的有利はないも同然になるからだ。誰かが1人外してパスをつなげば、あとは玉突き的に崩せてしまう。

 ただ、今のところMMNの優位性はそこまでにとどまっている。

 リーグアンでは、3人+アンヘル・ディマリアという形が使われていて、右にディマリア、メッシをトップ下に置き、中央と左をエムバペとネイマールが互換しながら使う。攻撃力は最大化されるが、UEFAチャンピオンズリーグ(CL)でこれをやることはないだろう。力量差のある相手を強引に叩き潰し、試合をショーアップするためのやり方だと思う。

 MMNだけでも破壊力は十分なので、それ以上攻撃に傾倒するのはCLでは危険すぎる。そもそも3人を並べるだけでも、守備をどうするのかという課題があるのだ。攻撃は最大の防御という考え方で押しきれるほどCLは甘くない。

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