古橋亨梧、前田大然、旗手怜央、井手口陽介でも異例の安さ。セルティックの日本人獲得戦略 (2ページ目)

  • アレックス・オヘンリー●文 text by Alex O’Henley
  • 井川洋一●翻訳 translation by Igawa Yoichi

【ビザ獲得に特例措置】

 過去にリーズ・ユナイテッド(イングランド)に引き抜かれながら、スペインとドイツに期限付きで移籍していた井手口は、実質的には英国のクラブに初めて挑戦することになる。

 この25歳の守備的MFを待ち受けるのは、激しいポジション争いだ。現チームの中盤には主将のカラム・マクレガーとニル・ビトンが君臨し、トム・ロギッチとデイビッド・ターンブルも好調を維持。"グチ"と呼ばれたいと話す井手口は、多士済々のピッチ中央に居場所を見つけ出せるだろうか。

 日本人選手を4人も揃えたのは、もちろん指揮官の意向にもよるものだが、シェフィールド・ハラム大学でスポーツビジネスを教えるダン・プラムリー教授によると、これはセルティックのアジア戦略の一環でもあると考えられる。

 昨年7月、セルティックは日本語のツイッターアカウントを開設し、その後、日本に少人数のメディアチームを作った。

「これで多くの日本人ファンとつながるようになり、当地にセルティックの名が広がっている」と同教授は英メディア『フットボール・インサイダー』に話した。「彼ら4人が活躍すれば、自クラブのメディアもより充実することになる」

 ブレグジット後の英国では、外国籍選手の獲得が以前より難しくなっている。ただし政府はスコティッシュ・プレミアシップのクラブに、これまでどおり、外国籍選手のビザ承認プロセスの特例措置を残している。これにより、過去の代表戦出場歴など、英国労働ビザを発給するための基準を満たしていない選手も、引き続きプレミアシップでプレーすることができる。

「これがなければ、スコットランドのクラブは戦力的に苦しむことになる。特に(セルティックのような)欧州カップ戦に出場するクラブにとって」とリーグのニール・ドンカスターCEOも歓迎した。

 一方、英国ビザを取得すれば、当然、イングランド・プレミアリーグのクラブからも標的になりやすい。とりわけ、すでに派手に活躍する古橋には熱い視線が注がれているようだが、指揮官は次のように強く主張する。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る