レアル・マドリード栄光の歴史は「スター」に依存する戦い方。戦術が最先端である必要がない (3ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

【世代交代が強さを維持するカギ】

 人がチームの成り立ちを決めていくレアルの場合、世代交代は強さを維持していくカギになる。心臓部のクロースとモドリッチの後継者としてフェデリコ・バルベルデがすでに台頭しているが、もう1人必要だろう。カゼミーロのポジションにはエドゥアルド・カマビンガを獲得したが、こちらももう少し時間はかかりそうだ。

 GKには名手ティボー・クルトワ。セルヒオ・ラモスがいたセンターバックはダビド・アラバが来て安定したプレーを披露している。相方はまだ少々不安はあるもののエデル・ミリトンが収まりそう。右SBには安定のダニエル・カルバハルと、"一家に一台"のルーカス・バスケスがいるが、左のメンディはマルセロのポジションを奪ったものの、マルセロのピーク時の攻撃力にはまだ及ばない。

 そして何と言ってもベンゼマへの依存度は相変わらず高い。クロースとモドリッチで組み立てはできても、最後のところを打ち破るのはFWの力量次第になる。組み立てを助け、前線でキープできて、フィニッシュワークが抜群。ベンゼマの後継者は見当たらない。

 年齢から言って、クロース、モドリッチ、カゼミーロ、ベンゼマを軸としたレアルは間もなくピークアウトする。チームを刷新する時期は迫っている。

 コロナ禍でいつになく移籍がおとなしいレアルだが、新しい顔を必ず獲得していくに違いない。数年来噂に上っているキリアン・エムバペやアーリング・ハーランドなど、強力な補強があるだろう。

 今までそうしてきたように、人で解決していく。だからレアルはいつも個性的だ。いつも同じではなく、その都度変わっているけれども、スターとともにある華やかなチームであり続けるだろう。

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