鎌田大地のチームへの貢献度は欧州組随一。日本代表ではなぜ不遇なのか (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

【その活躍とともにチームは復調】

 フランクフルトが先制したのは前半26分。FWラファエル・ボレ(コロンビア代表)が、自ら獲得したPKを決め、先制点をあげた。鎌田はそのPKに直結する決定的なパスを送っていた。オリンピアコスDFの反則を誘発したのはボレというより鎌田。鎌田のパスで獲得したPKだった。

 後半14分には、鎌田自身も今季初ゴールとなるチーム3点目のゴールをマークした。ゴンサロ・パシエンシア(ポルトガル代表)のミドルシュートを、相手GKトマシュ・バツリーク(チェコ代表)がセーブするも、鎌田はそのこぼれ球を反応鋭く拾い、細かなステップを踏みながら相手ゴールに流し込んだのだ。

 フランクフルトは3-1で勝利を収めると同時に、オリンピアコスをかわし、D組の首位に立った。

 このオリンピアコス戦まで、フランクフルトはブンデスリーガで、開幕から2勝2敗5引き分けと、中位以下をさまよっていた。ところがこの試合を機に調子は上向きに転じ、そこから現在までの9試合を6勝2敗1分けの好成績で乗りきっている。順位も6位まで上昇した。

 鎌田は、このオリンピアコス戦がおよそ1カ月ぶりのスタメンだった。出場時間は5割程度に止まっていた。それが一転、このオリンピアコス戦以降、すべての試合で、先発を飾ることになる。後半24分に途中交代したホッフェンハイム戦以外は、フルタイムかそれに近い時間、出場している。各国代表選手がライバル争いを繰り広げる攻撃陣にあって、揺るぎない立場を築いている。

 鎌田はフランクフルトの一員として、ヨーロッパリーグの舞台を2019-20シーズンにも踏んでいた。10試合に出場。6ゴールを挙げる活躍だった。すなわち、10月21日に行なわれたオリンピアコス戦のゴールは、ヨーロッパリーグ通算7点目のゴールだった。

 通算8ゴール目が生まれたのは11月4日、オリンピアコスとのリターンマッチ(アウェー戦)。相手に先制ゴールを許した直後(前半17分)の出来事だった。鎌田はボレの縦パスを受けると、そのまま右足で引っかけるようにゴール左隅に流し込んだ。

 シュートというアクションには力感がこもったイメージを抱くが、それは鎌田にはあてはまらない。強シューターではない。ボールタッチの延長上にシュートがあるという感じだ。すべてのプレーが脱力感に溢れている。全力で走ったり、競り合ったり、本人はしているのかもしれないが、パッと見、そのようには映らない。大汗をかいていないクールさが目立つ。

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