鎌田大地のチームへの貢献度は欧州組随一。日本代表ではなぜ不遇なのか

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Getty Images

 日本人のチャンピオンズリーガーは今季、南野拓実(リバプール)ただひとり。とはいえ、中心的な戦力として活躍しているとまでは言えない。一方、その下のリーグであるヨーロッパリーグの舞台に立った日本人は計7人。そのなかでグループリーグを突破し、決勝トーナメント進出を決めたのはフランクフルト所属の長谷部誠と鎌田大地のふたりに限られる。欧州で活躍する日本人選手の数は増えたが、その上位クラブでプレーする選手の数は、むしろ減少傾向にある。

 それだけに長谷部と鎌田が貴重な選手に見えてくる。ブンデスリーガでもフランクフルトは6位まで上昇。シーズン序盤の不調からすっかり立ち直っている。長谷部、鎌田の活躍度も、チームの成績に比例している。チームの好調を支える原動力と言っても言いすぎではない。

 かつて流行ったリベロを彷彿とさせる3バックの真ん中でチームを支える長谷部は、37歳の現在がキャリアハイの状態に見える。日本代表から引退を表明している選手なので、日本人の後輩たちがその経験を直接、享受することはできないが、鎌田大地はバリバリの日本代表だ。チャンピオンズリーガーである南野に、格でこそ劣るが、出場時間や活躍度を勘案すると、いい勝負になる。

 だが、森保一日本代表監督の最近の評価はけっして高くないようだ。評価を下げるきっかけになった試合は、W杯アジア最終予選初戦のオマーン戦(9月2日)。先発を飾ったにもかかわらず、後半25分、久保建英と交代でピッチを後にする姿に、悪い空気が見て取れた。その後の5試合でスタメンを飾ったのはわずかにサウジアラビア戦(10月8日)の1試合。交代出場も1試合しかない。森保監督の評価は最終予選前と一変してしまった。

 確かに鎌田はその頃、フランクフルトでも調子を崩していた。出場時間にそれは端的に現れている。森保監督の判断は的確だったかに見える。

調子を取り戻したフランクフルトの攻撃を牽引する鎌田大地調子を取り戻したフランクフルトの攻撃を牽引する鎌田大地この記事に関連する写真を見る そんな鎌田にとってターニングポイントになった試合がある。ヨーロッパリーグ第3戦(10月21日・ホーム戦)だ。相手はその時、グループリーグ(D組)で首位を行くオリンピアコスだった。

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