中村俊輔が選出する歴代フリーキッカーのベスト5。「絶対にマネができない」という第1位は? (2ページ目)

  • 篠幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • photo by Getty Images

4位:リオネル・メッシ(アルゼンチン/パリ・サンジェルマン)

 メッシは、元々はフリーキッカーではないと思うんです。でも在籍当時、監督だったジュゼップ・グアルディオラに言われたのか、いつの間にかフリーキッカーとして確立してきた、という印象です。

 蹴ったあとに軸足の足首がちゃんと流れていて、そういうセンスは元々ずば抜けたものがあるんだと思います。

 弾道やキックの質にはそこまで驚くものはないけど、シュートも含めてすごくパンチ力がある。実際にペナルティーアークの外くらいの距離では 内転筋の強さを活かして"チョン"と当てる感じで蹴り、多くのFKを決めています。

 普通に蹴っても決められるキックの質を持っていながら、GKが構えていないタイミングで急に蹴ったりする時もあって、その抜け目なさも「10番」だなと思います。そういうゴールは相手の精神的ダメージも大きくて、1点以上の重みがあることをよくわかっている。そうしたところも彼から学ぶところがあります。

3位:デビッド・ベッカム(イングランド/元マンチェスター・ユナイテッドほか)

 ベッカムは子どもの頃からキックがうまくて、フォームが出来上がっていたんだと思います。彼のキックの特徴は、蹴る前の最後の一歩が大股なところです。

 大股で軸足を踏み込むことで、蹴り足のバックスイングを大きく取って、インパクトを強くしている。手も大きく振りかぶって、全身を大きく使っています。普通、あれだけ大きなモーションの蹴り方をすると、インパクトがずれる場合が多いんです。でも小さい頃からたくさん練習して、あの蹴り方が自分のなかで確立されているからずれることがないんだと思います。

 ボールに関しては、カーブの質がとにかく高い。彼が蹴るカーブは、距離が長くなって曲がれば曲がるほど、ボールスピードが上がっていく感覚になります。バックスイングを大きくしてインパクトを強くすると、そういった球質になるんです。

 球質だけでなく、本当に綺麗な曲がり方をします。あの美しさはマネできないです。助走ですごく角度をつけてボールに向かうので、インパクトの時に足がボールの斜め下からグッと入るんですね。それで、ボールに対して足の甲全面を使ってインパクトできるようになる。だから、あれだけ曲がりながら伸びていくボールが蹴ることができるんです。本当に無駄のない"ザ・フリーキック"という感じですよね。

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