古橋亨梧の「キョウゴール」に沸くセルティック。加入わずか5カ月で現地は中村俊輔らレジェンド級の扱い

  • アレックス・オヘンリー●文 text by Alex O’Henley
  • 井川洋一●翻訳 translation by Igawa Yoichi

【リーグカップ優勝に貢献】

 指揮官は「ファンタスティック」と称え、同僚は「マジシャン」と形容し、敵方のレジェンドは「センセーショナル」と賞賛する──。

スコットランドのリーグカップ決勝で、優勝カップを掲げる古橋亨梧 photo by Getty Imagesスコットランドのリーグカップ決勝で、優勝カップを掲げる古橋亨梧 photo by Getty Imagesこの記事に関連する写真を見る 古橋亨梧は今、スコットランドのフットボールにおける紛うことなき主役のひとりだ。半年前に就任したアンジェ・ポステコグルー新監督に、セルティックでの初タイトルとなるリーグカップ優勝をもたらしたのも、この26歳の日本代表ストライカーだ。決勝では51分にハイバーニアンに先制されたが、直後に彼が同点とし、その20分後には逆転ゴールを奪った。

 横浜F・マリノスで成功を収めたオーストラリア人指揮官が獲得したこの日本人選手は、スコットランドでは「キョウゴ」でとおっている。ファンが親しみを込めてそう呼ぶだけでなく、英国のメディアでもそう記されることが多い。そして彼がここまで25試合に出場して16度もネットを揺らすうちに、「キョウゴール!(Kyogoal)」と大歓声があがるようになった。

 ただし、12月19日にハムデンパークで行なわれたリーグカップ決勝で、その声援が聞かれる可能性は限りなくゼロに近いと見られていた。ちょっとした奇跡と言ってもいい。なぜなら、その10日前のヨーロッパリーグ・グループステージ第6節のベティス戦で、キョウゴはハムストリングを痛めていたのだ(※訳者注:ちなみに同大会での古橋のゴールが、グループステージ最優秀得点に選出されている)。その後、2つのリーグ戦を欠場し、この日の決勝でもエースは復帰できないと予想されていた。

「おそらく無理だろうと思っていたよ」と決勝後にポステコグルー監督は明かした。「それでも彼は先発できると言ってくれてね。いやはや、本当に驚かされたよ。我々にはどうやってコンディションを戻したかわからないが、たとえ万全ではなくても、彼自身はプレーできると確信していたようだ。なんともファンタスティックな選手であり、ファンタスティックな人物だ」

 そんな指揮官の言葉にチームメイトも同調する。

「ひどい痛みを伴う怪我を負ってから2週間も経っていなかったから、僕らも彼が出場できると思わなかった」とセルティックのMFニル・ビトンは話した。

「決勝に先発するために、彼はできることをすべてやった。まったく、マジシャンのようだね。チームがきらめきを必要としている時、彼はいつもそれを供給してくれる」

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