岡崎慎司は満点に近い仕事ぶり、柴崎岳は「月間最優秀選手賞」など攻撃を牽引。リーガの2部で存在感

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGRAFIA

【柴崎は安定したチームで攻撃を牽引】

 もちろん、1得点はストライカーとして物足りない。第14節の日本人対決となったレガネス戦では、世界レベルの裏抜けでボールを呼び込み、完璧なフィニッシュを見せている。VARでオフサイド判定になったが、このような形でゴールを決めることは昇格するためにも必要だろう(気の毒なことに、スペインでの岡崎はVARでのゴール取り消しが多すぎる)。その他の仕事ぶりは満点に近い。

 一方、柴崎はレガネスのコンダクターとして異彩を放っている。17試合出場で、すべてが先発出場。欠場した試合も代表への招集が理由だった。ルーゴ戦、サラゴサ戦で決めたミドルシュートはまさにワールドクラス。12月に入ってからはチームが4-3-3にシステム変更し、インサイドハーフに入って攻撃センスを発揮している。

 開幕してからの2カ月は苦しんでいた。攻撃能力の高さよりも、守備のひ弱さが目立って、チームの悪い流れを変えることができなかった。日本代表で、サウジアラビア戦での腰が引けたプレーが批判を浴びたように、プレーの波が大きかった。その後、10月にはクラブの「月間最優秀選手賞」を受賞するが、チームは降格圏の20位と低迷し、10月末にはアシエル・ガリターノ監督が成績不振により解任されている。

 新たにチュニジア人のメディ・ナフティ監督が就任したのを契機に、柴崎はプレーを安定させつつある。チームが組織として機能している時に、力を発揮できる典型的な選手と言える。プレーの選択肢が整理されたことによって、攻守で力を出せるようになった。もともと2部では屈指のチーム力を有しており、カタルヘナ戦以降のリーグ戦8試合を4勝1敗3分けと巻き返すなかで攻撃を牽引している。

 柴崎は単純なキック&コントロール、それにビジョンにおいて、2部では屈指の能力の持ち主と言える。プレースキッカーとしても貴重で、1部の上位クラブでも重用されるレベルだろう。あとは、チームが不調の時に五分五分のボールを自分のものにし、決定的チャンスを作り出すというプレーを見せられるか。ポテンシャルの高さは証明済みで、必要なのは苦しい戦いのなかで弱気を見せず、チームを引っ張れる力が求められる。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る