CLグループステージ全勝のアヤックス。各ポジションのプレーを継承する伝統のスタイルは健在

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

欧州サッカー最新戦術事情 
第4回:アヤックス

日々進化していく現代サッカーの戦術を、ヨーロッパの強豪チームの戦いを基に見ていく連載。第4回は、チャンピオンズリーグのグループステージ全勝突破で注目のアヤックス。古くに確立されたスタイルが現在にも継承されていて、面白い。

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アヤックスの中盤で活躍する19歳のライアン・フラーフェンベルフアヤックスの中盤で活躍する19歳のライアン・フラーフェンベルフこの記事に関連する写真を見る【グループステージ6戦全勝】

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)のグループステージで全勝したチームが3つある。リバプール(イングランド)、バイエルン(ドイツ)、アヤックス(オランダ)だ。

 リバプールとバイエルンについてはさして驚きではないが、アヤックスの強さは予想を上回るものだった。ドルトムント(ドイツ)、スポルティング(ポルトガル)、ベシクタシュ(トルコ)と同居のグループCの本命はドルトムントだったが、アヤックスはホームで4-0、アウェーで3-1とノックアウトしている。

 得点20はバイエルンの22に次ぎ、6試合で10ゴールをゲットしたセバスチャン・ハラーはロベルト・レバンドフスキを抑えてグループステージの得点王だ。

 今季のチームはCLベスト4に入った2018-19シーズン以来の仕上がりをみせている。3シーズン前のメンバーではダレイ・ブリント、ドゥシャン・タディッチ、ダビド・ネレス、ヌサイル・マズラウィが健在だが、かなりのメンバーが入れ替わっている。ただし、そのプレースタイルは一貫していて、これに関してはヨーロッパでも最もカラーが明確なチームと言えるだろう。

 現在のマンチェスター・シティやバルセロナのプレースタイルは、元をたどればアヤックスなのだ。

 CLの前身であるチャンピオンズカップを3回連続で制した1970年代が黄金時代だった。ピート・カイザー、ヨハン・クライフ、バリー・フルスホフ、ヨハン・ニースケンス、ルート・クロルなど、当時のオランダ代表の中核となる選手たちがいた。リヌス・ミケルス監督は「ボール狩り」と称した今で言うプレッシングを導入し、攻撃では流麗なパスワークと変幻自在なポジショニングを披露。「トータルフットボール」として注目された。

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