南野拓実に決勝出場のチャンスあり。CLを勝ち抜いた優勝候補と注目の選手たち (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Abaca/AFLO

【優勝に最も近い3チーム】

 グループステージの得点王(10点)に輝いたCFセバスティアン・ハラーを真ん中に、アントニー、ダビド・ネレスというブラジル人の小柄なウイングがその脇を固める3トップと、伝統のパスワークが絡み合う攻撃は、目にも鮮やかに映える。

 イングランド勢の興隆、スペイン勢の衰退という流れの中で、アヤックスの台頭は見逃されがちな出来事になるが、立ち位置的に日本が注視すべきはこちらになる。参考にすべきサッカーだと言いたくなるが、同じ日、バイエルンに0-3で敗れたバルセロナについても、視線を向けたい。

 アヤックスとバルサの関係は、1971年、アヤックスを欧州一に導いたリヌス・ミケルスがバルサの監督に就任したことに端を発する。言わずと知れたFIFA認定の「20世紀の最優秀監督」である。その2年後、ミケルスの後を追うようにヨハン・クライフがバルセロナを訪れ、選手として活躍。引退後、バルサの監督に就任したことで、両クラブはすっかり親戚関係になった。チャンピオンズカップ(現在のCL)を3連覇したアヤックスのスタイルが、ほぼそのままバルサのサッカーの根幹となったわけだ。

 だが、本家はアヤックスだ。バルサは分家。バルサがCLグループステージで脱落し、アヤックスが6戦全勝で16強入りを決めたいま、その関係をあらためて想起させられる。初心に返ろうとするならば、学ぶべきは現在のアヤックス。と言いたくなるほど、エリク・テン・ハーグ率いるアヤックスは、模範的なサッカーをしている。

 ブックメーカー各社の予想に目を凝らせば、そのアヤックスはレアル・マドリードを抑え、優勝予想の7番手につけている。1位から6位まではマンチェスター・シティ、バイエルン、リバプール、PSG、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッドだ。この順位は、決勝トーナメントの組み合わせ抽選後、多少変化するものと思われるが、筆者もこの序列には99%同意する。

 もっと言えば、マンチェスター・シティか、バイエルンか、リバプールかだと思う。本命視されているシティは、ジョゼップ・グアルディオラを介せばアヤックスと親戚関係のクラブになる。グループステージの1位同士の対戦がない決勝トーナメント1回戦はともかく、準々決勝以降で拝みたいカードになる。

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