堂安律「一度は構想外」から復活。衝撃のヒールキックでオランダ人の度肝を抜いた

  • 中田徹●取材・文 text by Nakata Toru
  • photo by AFLO

【ファン・ホーイドンクもベタ褒め】

 PSVがフィテッセを2−0で下した翌日、11月21日の番組ではピエール・ファン・ホーイドンク(元オランダ代表FW)が「フィテッセ戦の前にPSVのメンバーを見た時、私は『プー』(とがっかりしてため息をついた)。CLプレーオフやリーグ戦序盤を戦った時のPSVとは、ぜんぜん違うメンバーだった」と失望を口にしてから続けた。

「だけど、PSVは見ていてとても面白かった。PSVはいいサッカーをしている。特にマウロ・ジュニオール(左SB)、ゲッツェ(MF)、堂安(右WG)は似たような(テクニシャン)タイプで、彼らのショートコンビネーションはとてもいい。テクニックに秀でた選手たちがフィテッセの守備陣を簡単に突破していた」

 ファン・ホーイドンクは「この場面」と言って、ひとつの映像シーンを示した。PSVがCBからビルドアップし、サイドからのミドルパスをくさびで受けたストライカーのヴィニシウスがポジションを取り直して、ゲッツェからの折り返しをシュート----というものだった。

「PSVのこの攻撃は、まるでトレーニングを試合中に再現しているかのようだった。これぞアイデアを伴ったフットボール。"このメンバーたち"もプレッシングサッカーをしている。非常にPSVは(攻撃から守備、守備から攻撃の)切り替えが速い」

 フォルトゥナ・シッタルト戦の16分、堂安は味方の負傷によってピッチに入ると、37分には今季2ゴール目を決め、11月25日のシュトルム・グラーツ戦で見せたスーパーアシストでサッカーファンを虜にした。堂安は浮き球をジャンプしながら右足でトラップすると、左足のヒールキックでスルーパスを通すという、ものすごいダブルタッチでブルマのゴールをお膳立てしたのだ。

 あれから10日以上経ったが、ちまたで「堂安」と言うと「エアで通したヒールキック(笑)」と返ってくるほど、オランダ人の度肝を抜いたプレーだった。

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