久保建英、完全復活なるか。低迷するマジョルカで求められること (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 中島大介●写真 photo by Nakashima Daisuke

 久保の離脱後、代わってエースの座についたのは韓国代表MFイ・ガンインだった。4-2-3-1のトップ下として、今や攻撃の中心を担っている。久保が復帰したヘタフェ戦でも鋭いシュートを放っただけでなく、中盤に落ちてプレーメイクし、決定的なパスを供給。終了間際にはCKから絶好のボールを送り、ヘディングシュートを打たせていた。

 おそらく久保にとっては、右サイドのアタッカーとしてポジションを確保することが先決になるだろう。ムブラはスピードこそ抜群だが、プレーの幅や奥行きを作ることができず、久保のほうが監督の求めるプレーができる。ヘタフェ戦でも久保はイと、回数は少ないながら、悪くない連係プレーを見せ、攻撃に厚みを加えていた。仕掛け、崩しのドリブルはまだ"封印"していたが、試合を重ねるなかで取り戻すはずだ。

 チームを窮地から救うためにも、久保に求められるのはフィニッシュの精度になるだろう。ストライカーではないのだが、世界に冠たるレアル・マドリードからレンタルされた助っ人アタッカーとしては、2けたゴール&アシストがひとつの成功の目安となる。数字がすべてではないが、レアル・マドリードでのプレーを視野に入れるなら、クリアする必要があるのだ。

<マジョルカが生き残るには、久保のゴール&アシストが不可欠で、求められるのはチームの主役の座であり、それは来季のレアル・マドリードでのプレーにつながる>

 わかりやすい方程式だ。

 久保はスペイン挑戦3年目。マジョルカ、ビジャレアル、ヘタフェ、そしてマジョルカと戻ってきた。1年目のマジョルカではルーキーながら主力となり、2年目のビジャレアルではヨーロッパリーグ決勝トーナメント進出をけん引。ヘタフェでは残留を決めるゴールを決め、正念場で存在感を示してきたと言える。あらためて望まれるのは、チームを救うリーダーとしてシーズンを過ごせるか、だ。

 12月4日、マジョルカは敵地ワンダ・メトロポリターノで、現リーガ・エスパニョーラ王者であるアトレティコ・マドリードと対戦する。戦う前から、旗色は悪い。しかし残留を考えた場合、勝ち点1でももぎ取りたいところだ。

 久保は切り札としての出場になるか。調子が戻ってきたことを確認する相手として、不足はない。リーガ随一の守備陣を突き破ることができたら――。それは久保の完全復活の狼煙となる。

2 / 2

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る