イングランド代表は育成改革で20歳前後の選手が台頭。カタールW杯へ向け絶賛リノベ中 (3ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 この夏、高額の移籍金でドルトムントからマンチェスター・ユナイテッド入りを果たしたジェイドン・サンチョ は21歳。さらにアーセナルを牽引しているエミール・スミス・ロウも21歳 。チェルシー所属でレンタル先のクリスタルパレスの主軸となったコナー・ギャラガーも21歳で、ロウとギャラガーは今回の予選でA代表デビューを果たした。

 イングランドには、こうした20歳前後の優秀な選手が少なくとも15人はいる。その未来は明るいと言えるだろう。

 若いチームを率いるガレス・サウスゲイトは元トップレベルのプレーヤーで、代表でも長くプレーした経験を持つ。選手にとっては親しみやすく信頼できる監督だ。テクニカルでインテリジェンスにあふれ、メディアとの関係も悪くなく、それがチームにいい影響を与えている。世界的にはほとんど無名の若手を発掘して代表に入れ、成果を出してきた手腕は大きく評価される。

 若いイングランドは絶賛リノベーション中だが、候補はほぼ決まっている。若手選手たちも試しに使われているのではなく、主戦力として招集されているのだ。

 ここにひとつのデータがある。南米も含めてカタールW杯予選を突破したった強豪国のなかで、起用した選手の数が一番少ないのがイングランドで36人だった。ちなみにブラジルは53人、アルゼンチンは49人、他のチームも50~60人が普通である。これでイングランドのチーム作りが最終段階にきているのがわかる。世代交代を、あまり多くの選手を使わないで行なうのは非常に難しい。この点においてもサウスゲイトに拍手を送りたい。

 W杯予選での成績は10試合で8勝2引き分け。同じグループにはサン・マリノ、アンドラ、アルバニアがいて、それらの試合で若手たちを起用することができた。サン・マリノには10-0で勝利し、多くの選手にゴールを経験させた。

 カタールでは、イングランドが悲願を実現する可能性がある。大事なのは、この1年間に若い選手たちにいろいろな経験をさせることだろう。大舞台でも決して動じないメンタルを育てていくことができれば、代表監督は「ポッシブル・ジョブ」になるかもしれない。

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