ロナウド、ファーガソン、オーナー......。マンチェスター・ユナイテッドが抱える問題を背負う次期監督はいるのか (2ページ目)

  • 井川洋一●文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

 確かに、最近の結果は目も当てられないようなものがほとんどだった。ここ7試合のリーグ戦の成績は、1勝1分5敗。レスターに力負けし(敵地で2-4)、宿敵リバプールに完膚なきまでに叩きのめされ(ホームで0-5)、同じ街に本拠を置くマンチェスター・シティにスコア以上の実力差を顕示され(ホームで0-2)、昇格組のワトフォードにまで完敗(敵地で1-4)しているのだ。クラブの誰からも好かれていた監督とはいえ、これ以上、指揮権を握り続けるわけにはいかない。

 ただし、ユナイテッドが抱える問題は根深く、監督だけに責任を負わせるべきではないと、多くの人が考えている。

 ジョゼップ・グアルディオラ監督のシティやユルゲン・クロップ監督のリバプールらと比べると、ピッチ上に高度な戦術が根づいていないのは明らかだ。ただ今季について言えば、連動したプレスがかけられない大きな要因がひとつある──36歳のクリスティアーノ・ロナウドの存在だ。

 このスーパースターの帰還は大きな話題を振りまき、クラブの株価を上昇させ、ファンや(特に)オーナーを喜ばせたが、フットボール面ではリスクを孕んでいる。グループステージ第5節でもゴールを挙げたロナウドは今季のチャンピオンズリーグの全試合で得点し、勝ち点に直結する活躍を見せているものの、守備面の貢献は実に低い。

 英紙『ザ・ガーディアン』でふだんから洞察に富む記事を綴るある記者は、「ロナウドこそ、最大の問題」と題する記事で、「ロナウドはこの3年半で、ジネディーヌ・ジダン、マッシミリアーノ・アッレグリ、マウリツィオ・サッリ、アンドレア・ピルロ、そしてスールシャールが、自らの所属先を去る姿を見てきた。モダンシステムに彼の居場所はあるのか?」と記した。つまり近年、CR7を抱えるクラブの監督は成功できていないばかりか、誰もが職を失っている、と。

 優れた決定力と守備面の欠陥──。それを天秤にかけたなら、彼をベンチに置く決断を下しても不思議ではない(きっとグアルディオラやクロップなら、そうするだろう)。しかしユナイテッドにおけるロナウドは、聖域にいる。

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