スコットランドで注目を集める前田大然。現地記者4人が本音で語った印象は?

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by AFLO

 古橋が26歳と脂の乗ったタイミングで移籍して高いパフォーマンスを発揮している一方、現在24歳の前田はポルトガルでのプレー経験を誇る。もしセルティックに加入すれば、ふたつの利点があるとグレイグは見ている。

「前田がセルティックに来ることになれば、チームメイトに亨梧がいる。新しい環境に慣れるために、この点は非常に大きい。それに監督のアンジェ・ポステコグルーは前田の性格をよく知っている。前田もポステコグルーのプレースタイルを理解していることは大きなアドバンテージになるはずだ。

 亨梧のように、前田も技術とフィジカルを備えているように見える。すべての要素がうまく噛み合えば、中村が移籍前に思われていたリスクよりはずっと低いだろう。中村の場合、成功に終わったけどね」

 2005年夏、セルティックで初の日本人選手となった中村は、2006−2007シーズンのチャンピオンズリーグではマンチェスター・ユナイテッド戦で2本のFKを決め、クラブ史上初のベスト16に導いた。同年にはスコットランドリーグのMVPに輝いている。

 だが当初、フィジカルやスピードが重視される英国において、懐疑的な見方をする者も決して少なくなかった。

 それを覆して成功を収めた裏には、本人の実力はもちろん、理解者だったゴードン・ストラカン監督や、ホットラインを築いた元ウェールズ代表の巨漢FWジョン・ハートソン、右サイドの中村と両翼を成したショーン・マロニーやエイデン・マクギーディーの存在も大きい。チームのサイクルがうまく噛み合った時、個人も輝きを増すのがサッカーの醍醐味のひとつだ。

 その意味で、1817年から発刊されている『スコッツマン』の名物記者アンドリュー・スミスの見解は興味深い。

「前田のインタビューを読んだが、彼は技術的に最高峰ではないから、スピードや運動量で補わなければいけないと話していた。最近の得点シーンは極めて印象的で、好調を維持しているように映る。スコットランドでは、上記の能力は成功につながりやすい。古橋亨梧のように勝者のメンタリティを持っているように感じられ、それも前田をいい方向に向かわせるだろう」

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