プレミアリーグの天下は続くのか。「3強」がCLでも存在感を発揮する理由 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AFP/AFLO

 苦手なのは、チェルシーより守備的なチームになる。チェルシー的なチームは、世のなかにそう多くないが、しいて言えば、ここ何年かで以前より格段に守備的になったアトレティコ・マドリードだ。チェルシーにとっては戦いたくない相手かもしれない。4バックを敷くもののカウンターを得意にするPSG、幅広い対応が可能そうなバイエルン、プレミア勢では3トップで攻めきる力があるリバプールが、チェルシーの2連覇に待ったをかけそうなチームに見える。

 ジョゼップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティは、そのチェルシーに対し、9月25日の国内リーグでは通常通り4-3-3で正面から向かっていき、1-0の勝利を収めている。横綱相撲的な正攻法で押しきる、強い勝ち方だった。

 昨季の決勝戦。下馬評が高かったのはマンチェスター・シティだった。まさにまさかの敗戦で、逆に今季への期待を高める結果になった。CL優勝には、順番めいたものがあり、その視点に立つと、マンチェスター・シティは押しも押されもせぬ本命的な存在として浮上する。

 戦力的に大きなプラス効果をもたらしているのは、アストン・ヴィラから獲得したジャック・グリーリッシュだ。この右利き選手を左ウイングに配したことで、左サイドの攻撃がバラエティ豊かになった。その下で構える左SBジョアン・カンセロとのコンビネーションプレーが、新たなセールスポイントになっている。リヤド・マフレズ(右ウイング)とカイル・ウォーカー(右SB)で組む右サイドも1本筋が通っていて、両翼の4人で外側をカチッと固めている印象だ。SBが活躍するチームは強いと言われるが、マンチェスター・シティはその代表になる。

 ガブリエル・ジェズス、フィル・フォーデン、ラヒーム・スターリングも、前線ならどこでもできる多機能性が売りで、0トップスタイルにも変化することができる。本格的なストライカーはいないが、その1列下からベルナルド・シウバ、ケビン・デ・ブライネが絡む攻撃は多彩だ。グアルディオラが描く理想型に近づいたと見ていい。

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