メッシ不在のクラシコ。新10番アンス・ファティと補強組はバルサ復活の救世主になりうるか (2ページ目)

  • text by Michiko Yamamoto
  • photo by Rafa Huerta

 そこで、期待されているのが、今季、夏に補強したメンフィス・デパイ、そして、メッシの親友兼アルゼンチン代表チームメイト、本来、メッシとのタンデムが期待されていたセルヒオ・アグエロの活躍だ。

 ただ、アグエロは、残念ながら、まだ負傷あがりであり、今回のクラシコでのスタメンは望めない。とはいえ、元マンチェスター・シティのスター選手は、「僕らベテランがアンスを助けていかないとね」とその責任を背負う覚悟を口にしている。おそらく、今回のクラシコでは、後半から起用されることになるだろう。

 ピッチでアップするだけで、スタンドからは「クン!クン!クン!」と大歓声で毎回、愛称で迎えられているアグエロは、アトレティコ・マドリード、マンチェスター・シティ時代ともに、レアル・マドリードのゴールネットを揺らしている。クラシコで、バルサでの初得点を決めた日には、10万人の大歓声が響き渡ることになるだろう。

 その一方で、今回、スタメン出場がほぼ確定しているのは、ベテランFWのメンフィス・デパイだ。昨季、リーグアンのリヨンで、20ゴール12アシストを決めて鳴り物入りでバルサにやってきたメンフィスは、現在、8試合4ゴール2アシストと、新補強選手としては、悪くない数字を出している。しかし、レアル・マドリードの攻撃を支えているカリム・ベンゼマと比較した時、物足りなさは否めない。

 クリスティア―ノ・ロナウドなきあとのレアルの攻撃を支え続けているベンゼマは、今季、メンフィスと出場数は同じで8試合に参戦しており、これまで9ゴール7アシストを決めている。正直、これが、トップチームに求められるスタメンFWのパフォーマンス力だと言えるだろう。

 また、レアル・マドリードには、ベンゼマに加え、今季、爆発しているヴィニシウス・ジュニオールがいる。今季は、8試合で5ゴール3アシスト、チャンピオンズリーグでも2ゴールを決めている。昨季はシーズンを通して6ゴールしか決められず、非難轟々(ごうごう)だったが、今季は既に昨季の自己記録を超える勢いを見せている。また、既にリーガにおけるクラシコも4回目を数え、過去にはゴールを決めた経験もある。今回は、さらに自信をつけてカンプノウに戻ってくるヴィニシウスを止められるかも、バルサにとっては鍵のひとつになるだろう。

 カンプノウでは、今季初の10万人の観客が入ると予想されているが、バルサがホームで戦うというメリットを差し引いても、得失点を始め攻守ともに、データはレアル・マドリード優勢を語っている。とはいえ、今季のレアル・マドリードの試合を見ていて、ヴィニシウスの覚醒は目を引くが、それ以外に目新しさは感じられない。

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