メッシでもロナウドでもない。CLで主役級の活躍を見せている注目の3人

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

 アヤックスと言われて思い出すのは2018-19シーズン。決勝トーナメントに進出したアヤックスは、レアル・マドリード、ユベントスを続けて倒し、準決勝に進出した。トッテナム・ホットスパーに対しても、後半のロスタイムまでリードする展開だった。最後の最後でルーカス・モウラにアウェーゴール弾を浴び、1996-97シーズン以来の決勝進出を逃したが、金満クラブ全盛の欧州サッカーシーンに風穴を開ける、痛快な姿を見せつけた。

 今季、その再来はなるか。監督は当時と変わらず、エリク・テン・ハーグが務める。フランク・デ・ブール監督率いるオランダ代表と異なり、オランダ伝統の3FWスタイルを堅持。小粒ながら技巧派選手で固めたメンバー構成で、攻撃的なサッカーを貫いている。

 目を引くのは、昨季加入した左利きの右ウイング。アントニー・マテウス・ドス・サントスだ。10月に行なわれたW杯南米予選ベネズエラ戦でブラジル代表デビューを飾り、ゴールまでマークした21歳。東京五輪にも出場していたので、ご記憶の人も多かろうと思うが、ブラジルサッカー界に久々に現れたコテコテのドリブラーだ。

小柄で俊敏。相手の逆を取るセンスに、瞬間的な速さ、ダッシュ力もある。堂安律や久保建英をスケールアップさせたような、見ていて楽しい、独特の匂いのする右ウイングだ。

 ドルトムント戦ではカーブの利いた左足キックで鮮やかな3点目をマーク。ドルトムントのハーランド同様、来季の移籍先が注目されるひとりになっている。右ウイング不在のバルサなどは、真っ先に狙いたい選手だと思われるが、その前に今季だ。アントニーが、金満クラブのDF相手にどれほど輝きのあるドリブルを発揮できるか。アヤックスを見る楽しさは、ここにきて大幅に増している。

 戦術はもちろんだが、CLに出場する選手のレベルは、ここ2、3年でまた一段と上がった印象だ。今季、日本人のチャンピオンズリーガーは、リバプールで出番が増えそうなムードがあまりない南野拓実ただひとり。それに続く選手は見当たらない。欧州組が急増したことに満足する風潮があるが、CLを見ていると、むしろ欧州のトップからは置いていかれている気がする。日本人選手がCLの舞台で一世を風靡する日は訪れるのか。それなしに日本のW杯ベスト8は望めないと思う。

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