ネイマールが四面楚歌で重大危機。たび重なる非難に精神的に疲弊している (2ページ目)

  • リカルド・セティオン●文 text by Ricardo Setyon
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 だが、30歳まであと数カ月の今、ネイマールは四面楚歌の状態に陥っている。

 かつて愛されたバルセロナのサポーターは彼を裏切り者と呼び、現在のパリ・サンジェルマン(PSG)のサポーターは彼を無能扱いし、ブラジル人はいつまでも大人になれないネイマールに愛想をつかしつつある。スポンサーのナイキに契約を打ち切られ、カタールW杯のアンバサダーからも降ろされた。たび重なるトラブルや子供じみた言動に、誰も我慢しなくなった。

 9月に行なわれたカタールW杯南米予選第10節のペルー戦で、彼はゴールを決め、セレソン(ブラジル代表)の公式戦のゴール数がペレと同じ70台となった(ペレは77)。それ自体はすばらしいことだ。ただこの時、ペレはかなり体調が悪くちょうど入院中だった。そんなペレに「メッセージを」と請われると、ネイマールはこうコメントした。

「ペレが早くよくなるように、そして僕が早く得点記録のトップになれるように」

 この無神経な発言にブラジルの世論は炎上した。

 PSGでは今シーズン第10節までのネイマールの成績は1ゴール、2アシスト。これといった活躍は見られない。テレビのコメンテーターには「ネイマールはベンチに残すべきだ」と言われ、PSGのOBエドゥアール・シセはネイマールのことを「甘やかされた子供」と非難。第8節モンペリエ戦ではチームメイトのキリアン・エムバペから「ネイマールがパスをくれない」と苦言を呈された。

 セレソンで10月10日に行なわれたW杯南米予選のコロンビア戦がスコアレスドローに終わり、連勝が9でストップしたのはネイマールのせいだと言われている。ネイマールはこの試合で30回近くもボールを失っていた。試合後にはグローボTVの国民的コメンテーター、ガルバオ・ブエノがぼそりと「愚か者だ」と呟いたのをマイクが拾った(これにネイマールの家族がかみつき「愚か者はお前のほうだ」と反撃したので、騒ぎはより大きくなってしまった)。

 いまや非難はネイマール中心のチームを作り続けるチッチ監督にまで及んでいる。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る