W杯欧州予選の最新勢力図。ドイツ、デンマークは出場権獲得、スペインは最終決戦へ

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFP/AFLO

 ルイス・エンリケ監督が率いるスペインは、EURO2020でベスト4に進み、今回の決勝進出で力を顕示している。絶対的ストライカーは不在だが、ミケル・オヤルサバル(レアル・ソシエダ)、フェラン・トーレス(マンチェスター・シティ)、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)といったゼロトップ的FWを擁し、連係力は卓抜。MFも、今やボールプレーヤーとして世界的名声を博すペドリ(バルセロナ)だけでなく、ガビ(同)も台頭し、十代の躍進が目覚ましい。

 しかし守備が安定せず、カタールW杯予選はグループBで2位。11月のグループ最終戦は勝ち点2差で追う首位スウェーデンとホームでの決戦になる。

 イタリアもワールドクラスの点取り屋に恵まれていないが、フェデリコ・キエーザ(ユベントス)、ロレンツォ・インシーニェ(ナポリ)のセカンドストライカーの得点力は、それを補って余りある。堅い守備はイタリア伝統の強さで、37歳になるCBジョルジョ・キエッリーニ(ユベントス)が健在。中盤にはジョルジーニョ(チェルシー)を擁し、EURO2020優勝の実績は伊達ではない。

 カタールW杯予選でグループCのイタリアは、スイスと勝ち点で並んでおり、11月のホームでの直接対決に運命をかける。

 ロシアW杯優勝のフランスは、EURO2020こそ不振に終わったが、ネーションズリーグ優勝で実力を証明した。キリアン・エムバペ(パリ・サンジェルマン)、アントワーヌ・グリーズマン(アトレティコ・マドリード)、ポール・ポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)、エンゴロ・カンテ(チェルシー)などその陣容は世界選抜に近く、カリム・ベンゼマ(レアル・マドリード)も復帰して隙がなくなった。

 ディディエ・デシャン監督は4-3-3を基調にしつつ、3バックも選択肢として採用している。効率性を求め、インテンシティを生かした「負けない算段」を整えた。ただ、攻撃と守備の分業になって、得点に結びつく攻撃はカウンターが大半。ボールを持って運んで、相手の裏を取って好機を生み出すことは少なく、退屈にも映る。カタールW杯予選はグループDの首位で、出場はほぼ当確。手堅いチームだ。

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