ミランで初先発初得点のマルディーニ家三代目は、6歳でセードルフにタックルをかました (2ページ目)

  • 利根川晶子●文 text by Tonegawa Akiko
  • photo by LaPresse/AFLO

 ダニエルは2001年、パオロとベネズエラ人のモデル、アンドレイナの間に生まれた。そのためベネズエラ国籍も持っている。9歳でミランのU-10チームに入ると、その後もミランの育成カテゴリーを経て、2019-2020シーズンにトップチームに昇格。2019年夏の親善試合バイエルン戦でトップチームデビューを果たした。一家の伝統に背き、ポジションは攻撃的MFもしくはトップ下だ。

 かつてパオロ・マルディーニは、「いつも父の影がつきまとっていたのが嫌だった」と語っていた。その反発からか、子供の頃はユベントスを応援していて、憧れの選手はユベントスのアントニオ・カブリーニだったという。しかし三世のダニエルにはそんな屈託はなさそうだ。

 それは、パオロが有名選手を親に持つという意味をよく知っているからかもしれない。彼は過去にインタビューでこう答えている。

「私が自分に課していたのは、絶対に息子たちのサッカーに口を挟まないことだ。彼らが楽しんでボールを蹴っているのを邪魔したくはない。それから彼らのチームには干渉はしないこと。彼らのコーチが、たとえ(フィリッポ・)インザーギや(フィリッポ・)ガッリといった昔のチームメイトであっても、彼らに何かを言ったりはしない」

 ダニエルのプリマベーラ時代の監督アレッサンドロ・ルーピは「ダニエルはとても頑固で、名前からくる重圧をものもともしない」と証言しているし、ミランのインスタグラムではダニエル自身がこう語っている。

「マルディーニを名乗るのはものすごく責任があることだけれど、こういうプレッシャーには小さい頃から慣れているから大丈夫」

 スペツィア戦後のインタビューでダニエルは次のように語っている。

「ついに夢が叶うのですごく緊張していたけど、父が落ち着かせてくれた」

 この試合には、ミランのテクニカル・ディレクターであるパオロももちろん来ており、息子がゴールした瞬間には、思わず立ち上がり拳を振り上げた。パオロの元チームメイトで、この日のテレビの解説を務めていたマッシモ・アンブロジーニはそれを見てこうコメントした。

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