がんばれ香川真司、カタールW杯出場へ正念場。チームのどのポジションで活路を見いだせるか (3ページ目)

  • 中山淳●取材・文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by AFLO

 おそらく復調のカギは、周囲が香川に対して持っているプレーイメージと実際のそれとの間にあるギャップを、いかにして埋めていくかにあるのではないだろうか。

 香川がドルトムントで強烈なインパクトを残した2010年から2012年。1トップ下で、相手ボックス内で決定的な仕事を連発した当時のプレースタイルは、ファンはもちろん、多くのサッカー関係者の記憶に刻まれている。攻撃的MFというよりも、FW的。得点に絡むセカンドトップというのが、香川のスタイルだった。

 そのプレーぶりが評価されたからこそ、2012年夏、サー・アレックス・ファーガソン監督が率いるマンチェスター・ユナイテッドに引き抜かれた。当時のユナイテッドと言えば、誰もが憧れるトップ・オブ・トップのメガクラブ。日本人選手としては、かつてペルージャからローマに引き抜かれた中田英寿を超えるレベルの画期的大型移籍だ。

 しかし、あれから年月を経て、とくにサラゴサ時代になってからの香川はセカンドトップというよりも、相手ボックス外でプレーするインテリオール(インサイドハーフ)的なプレースタイルに少しずつ変化した。狭いスペースの中でボールを受け、巧みなボールタッチで俊敏性を生かしながらゴールに絡むのではなく、前線から下りてボールを受けてから攻撃を組み立てようとするプレーが目立ち始めたのである。

 その一方で、ゴールやアシストを期待するクラブ、監督、サポーターたちは、それに物足りなさを感じてしまう。少なくとも、4−2−3−1を基本とするPAOKにインテリオールのポジションは存在しない。その現実を香川がどのように受け入れ、どのポジションに活路を見出すかが、今後の行方を左右することになるだろう。

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