ルカクもレジェンドもCFに決まったスタイルなし。唯一の共通点は「大量に点をとること」 (4ページ目)

  • 西部謙司●文 text by Nishibe Kenji
  • photo by Getty Images

 ラストパスやこぼれ球への予測が的確で、反応がとびきり速いのでチャンスを拾える。そしてチャンスをつかんだら、ゴールの隅にボールを転がして入れる。ゴールがどこにあるかを見なくても正確に把握する能力が抜群だった。これはCFにとって重要な能力だ。

 ミュラーの10年ほどあとに出てきたロマーリオ(ブラジル)も敏捷性とシュート技術でよく似たタイプだった。ブラジル人だけあってミュラーよりも技巧的だが、真骨頂はボックス内でのスピードとコントロールシュート。体格に頼らず得点を大量生産した2人は、サッカー史上で双璧のゴールゲッターだろう。

<エレガントなファン・バステンと爆速ロナウド>

 オランダ代表とミランで活躍したマルコ・ファン・バステンは万能型。長身だがあまりパワーはなくて、技術で点をとるタイプだ。1988年ヨーロッパ選手権決勝のボレーシュートが有名なように、シュートの正確性と洗練されたボールコントロールで、エレガントなCFだった。

"フェノメノ"と呼ばれたブラジル人のロナウドは、スピードスターだ。フィールドの半分をドリブルでぶっちぎって次々にゴールを決めた。現在のキリアン・エムバペ(フランス)に似ている。ただ、最高のロナウドはインテルで重傷を負うまでで、その後も得点は量産していたが走る距離はかつての半分ぐらいになっていた。

 このロナウドを抑えてワールドカップ通算最多16ゴールを決めたミロスラフ・クローゼ(ドイツ)も万能型の部類だろう。ただ、空中戦もドリブルシュートも、特段にすごい印象はない。それでもいつのまにかゴールしていた。

 ポルトガルのペドロ・パウレタもC・ロナウドに抜かれるまで代表最多得点記録を持っていたが、こちらも何がすごいというストライカーではなかった。よくわからないが得点はやたらとれるという点で、典型的なストライカーと言えるかもしれない。

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