メッシ、ネイマール、エムパベの3トップが機能せず。CL開幕戦で起きたPSGの昨季と同じ現象 (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AFP/AFLO

 バランスは最後まで乱れたままだった。ここ2、3年のバルサを見るようだった。バイエルンに2-8で大敗した一昨季のCL準々決勝。バルサの凋落が顕著になった一戦だが、この大敗の原因を、このブルージュ戦の引き分け劇に垣間見た気がした。

 PSGは昨季の準々決勝でバイエルンに勝利している。続く準決勝でマンチェスター・シティに敗れ、決勝進出を逃したが、その前のシーズンは決勝でバイエルンに敗れた。今季メッシを加えたことで優勝を狙うつもりでいるようだが、このサッカーではバイエルンには勝てないだろう。バイエルンがバルサをカンプノウで3-0と一蹴した一戦と重ね合わせると、PSGの穴は鮮明になる。

 ブルージュ戦のメッシは、惜しいシュートを2本放った。メッシにしかできないボール操作で、見る者を唸らせる瞬間もあった。しかし、サッカーは相手ボールの時間が50%を占めるスポーツだ。メッシを加えたPSGは、そこに大きな問題を抱えている。簡単には修正が利かない問題であることは、くり返すが、バルサの過去を見れば明白だ。メッシと同じアルゼンチン人のポチェッティーノ監督に、メッシをうまく操る力があるか、心配だ。今後のマンチェスター・シティ戦、ライプツィヒ戦に目を凝らしたい。

 このA組以上に、混沌としてきたのがF組(マンチェスター・ユナイテッド、ビジャレアル、アタランタ、ヤングボーイズ)だ。草刈り場と目されていたヤングボーイズがマンチェスター・ユナイテッドに勝利。伏兵のムードが漂うビジャレアルとアタランタが引き分けたため、団子状態と化している。

 マンチェスター・ユナイテッドは開始13分、1トップに据えたロナウドのゴールで先制したが、35分、アーロン・ワン・ビッサカがラフプレーで退場。すると、同点にされることを恐れたのか、監督のオーレ・グンナー・スールシャールは、4-2-3-1を5バックに変更。守備を固めてカウンター、という作戦に出た。だが有効なカウンターは数えるほど。ロナウドに活躍の目はなくなった。そして、後半21分、ヤングボーイズに同点ゴールを許すと、その数分後には交代でベンチに下がった。

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