「打撃」「安堵」......女王様ロナウドが去ったユベントスの複雑なリアクション (3ページ目)

  • パオロ・フォルコリン●文 text by Paolo Forcolin
  • 利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 そう、ロナウドはチームメイトから「女王様」と呼ばれていた。あまりにも特別扱いされ、彼にばかりスポットライトが当たり、しかもロナウド自身、それを当然と受け止めている節があったからだ。ロナウドは周囲の選手、たとえばヨーロッパチャンピオンたち(レオナルド・ボヌッチ、ジョルジョ・キエッリーニ、フェデリコ・ベルナルデスキ、フェデリコ・キエーザ)の存在をかすませ、他のスター選手たち(パウロ・ディバラ、アルバロ・モラタ)の息を詰まらせた。

 しかし、リーグ戦が始まると、そんな思いも一変したのではないか。

 第2節のエンポリ戦を、ユベントスはロナウド抜きで戦った。すでに彼はプライベートジェットでトリノを発っていたからだ。そしてユベントスは、セリエBから昇格したばかりのチームに、ホームで敗退してしまう。リードされた後、キエッリーニがマッシミリアーノ・アッレグリ監督に向かって何かを言っており、SNSでは唇の動きからその内容を解析されている。

「これがこのチームだよ......」

 それを聞いて私の頭には、ここ2シーズン、チームを率いた監督、マウリツィオ・サッリとアンドレア・ピルロの言葉が浮かんだ。

「ロナウドの存在が、カーペットの下の埃を隠していた」

 その意味は明確だ。ユベントスは多くの問題を抱えていたし、今もそれは未解決だ。特に中盤の問題は大きい。しかしそれらの問題を、ロナウドのゴールが目立たなくさせていた。しかしもうロナウドはいない。埃の存在は見えてしまった。一日も早くシフトチェンジし、いい掃除機を買わなければ、ユベントスの行先は危ういだろう。

 ユベントスの会計係は喜んでいるかもしれないが、多くのユベンティーノはそうではないはずだ。

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