日本の五輪3戦目フランスは戦力大幅ダウン。スペインはドリームチームで出場 (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • photo by AFP/AFLO

 OAも苦肉の策だろう。メキシコリーグで活躍するFWアンドレ=ピエール・ジニャック、MFフロリアン・トヴァン(ともにティグレス)は実力者だが、「第一線を退いた」とも言える元代表選手。MFテジ・サヴァニエ(モンペリエ)に至ってはリーグアンで実績を積んできたが、代表歴は一度もない。

 ドイツも、状況はフランスに似ている。

 1990年代、ドイツ代表FWだったステファン・クンツ監督が率い、U-21欧州選手権では2019年準優勝、2021年優勝と結果を残してきた。戦力的にはスペインと並び、この世代ではトップランクで、すでにフル代表にも選手を輩出している。しかし東京五輪メンバー構成は、控えめに言っても1.5軍だ。

 カイ・ハベルツ(チェルシー)、ルーカス・クロスターマン(ライプツィヒ)などユーロ2020を戦った選手の選出は論外。センターバックには、フェリックス・ウドゥオカイ(アウクスブルク)、アモス・ピーパー(ビーレフェルト)と、所属クラブで定位置を確保した2人が入ったが、多くの選手が所属先でポジションを確定できていない。「U-21欧州選手権2021の優勝メンバーが多く入った」と聞くと豪勢だが、つまりは年代的にひとつ下のチームなのだ。

 OAにも助っ人感はない。MFマキシミリアン・アーノルド(ヴォルフスブルク)は代表歴1回。マックス・クルーゼはドイツ代表としても期待された実力者で、昨シーズンもウニオン・ベルリンで11得点と結果を残しているが、数々の不祥事で代表からは遠ざかった"いわくつき"の選手でもある。

 ルーマニアも事情は変わらない。U-21欧州選手権で活躍した点取り屋、ゲオルゲ・プスカシュ(レディング)は招集できず。国の英雄ゲオルゲ・ハジの息子、MFヤニス・ハジ(レンジャーズ)も外さざるを得なかった。国内の若手だけのチームでは、厳しい戦いが予想される。

 そんな中、唯一、ドリームチームのような陣容を組んだのが、スペインである。マンチェスター・シティにはロドリ、フェラン・トーレスの招集を拒否されて断念したが、国内クラブのバックアップを取りつけることができ、ほぼベストメンバーをそろえた。

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る