欧州サッカー日本人最新市場価格。この1年で評価を変えたベスト&ワースト3

  • 鈴木達朗●文 text by Suzuki Tatsuro
  • photo by Sano Miki

2位 遠藤航(シュツットガルト)
市場価格1000万ユーロ(約13億1000万円)
上昇額840万ユーロ(約11億40万円)

 28歳という比較的高い年齢から考えれば、遠藤航の市場価格の上昇ぶりは例外的なものだ。Jリーグでプレーしていたころから、遠藤のクオリティを見て取ることはできた。だが、過去の日本の契約条件や移籍金の傾向から、現在ほどの市場価格をつけるのは難しかった。

 現在、Jリーグでプレーしている選手たちの市場価格も、同じ理由から抑制されている傾向がある。それだけに、Jリーグをあまり見ていない欧州のニュートラルなファンたちが、ベルギーのシント・トロイデンで初めて見る遠藤の能力の高さに驚かされたのも無理はない。

 遠藤は、シュツットガルトの中盤を司る"心臓"として不可欠な存在となった。これまでよく知られていた守備のパフォーマンスの高さだけではなく、素早い守備から攻撃へのトランジションの起点としても存在感を発揮。昨シーズンでさらに評価を高めた。

 年齢に関わらず、成長ぶりをピッチ上に反映させることで市場での評価を上げられるのを、証明してみせたのだ。

3位 冨安健洋(ボローニャ)
市場価格2000万ユーロ(約26億2000万円)
上昇額650万ユーロ(約8億5150万円)

 コロナ禍で、トランスファーマルクトも2020年4月に市場価格に自動修正をかけた。これにより、大半の選手の評価が下がり、その傾向はいまだにつづいている。欧州サッカー界では、その影響はまだ目立ったものではないが、全体としては市場の成長に支障が出ているのが見て取れる。

 この傾向を顕著に示しているのが、冨安健洋だ。2020年3月の時点で1500万ユーロの市場価格がつけられ、日本人DFとして歴代最高値を更新した(それまでは長友佑都の1400万ユーロ)。しかし、その評価額の高さゆえにコロナ禍での移籍市場の傾向が明確に反映されることとなった。修正後は1350万ユーロまで下落した。

 ところが、冨安はここから真価を発揮する。中断後のシーズン終盤でさらなる活躍を見せ、2000万ユーロまで市場価格を上昇させたのだ。イタリアでの評価を確立させ、そのまま安定した成長を見せつづけている。

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