ユーロの本命に躍り出たイングランドに穴はないのか。準決勝以降の見どころポイント (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by Reuters/AFLO

◆ユーロで3バックシステムが流行。森保ジャパンの参考になるのはどれか?

 図抜けた選手はいないが粒ぞろい。言い換えればそうなるが、スペインにも同じことが言える。一時代を築いた過去のチームと比較すれば、小粒感は否めない。しかし、その一方で大きな穴はない。4-3-3のバランスは、以前より取れている。

 イタリアに劣る点をあえて挙げれば、両ウイングと両SBが絡んだコンビネーションプレーが少ないことだ。よってサイドでスピード感を演出できずにいる。セサル・アスピリクエタ(チェルシー)、ジョルディ・アルバ(バルセロナ)が務める両SBの攻め上がりの回数も不足している。特にアスピリクエタの右は、常に専守防衛の状態にある。

 ここが改善されないとスペインは苦しい。準決勝のみならず、決勝戦の見どころでもある。イタリア対イングランドになってもスペイン対イングランドになっても、勝負は両SBと両ウイングのコンビとしての活躍度によって決まると見る。

 イングランドの問題について触れるならば、直情型というべくその気質だ。気合いが入りすぎると、テンポ、リズムが同じになる癖がある。スタンドから湧き起こる歓声がそれを悪い意味で後押しする可能性もある。プレーが膠着すれば、アイデアは湧きにくくなる。ラテン的なマリーシアの有無が、試合にどこまで影響するか。

 準決勝のイタリア対スペイン。噛み合った攻撃的サッカー対攻撃的サッカーの撃ち合いになることを期待したい。この戦いを制したほうには、チームとして勢いが生まれる。イングランドにとって厄介な存在になる。ユーロ2020。残り3試合の行方に注目したい。

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