ユーロで3バックシステムが流行。森保ジャパンの参考になるのはどれか? (2ページ目)

  • 中山 淳●文 text by Nakayama Atsushi
  • photo by Getty Images

 結局、これら6チームはいずれもグループステージで敗退したのだが、それでも、グループFでポルトガル、フランス、ドイツといった強豪と対戦したハンガリーは、このスタイルで勝ち点2を獲得するなど、一定の成果を収めたと言っていいだろう。

 これに対し、ドイツ、ベルギー、オランダといった強豪チームが採用する3バックは、両ウイングバック(WB)のタレント性を前提とした攻撃型の布陣だ。

 そのなかでも、右WBにヨシュア・キミッヒ、左にロビン・ゴセンスを配置したドイツの場合は、3-4-2-1の立ち位置によってつくられるパスコースを有効に使いながらボール保持することを強く意識しており、両WBが敵陣高い位置でサイドアタッカー的な役割もこなした。その時の陣形は、3-2-5。かなり攻撃的だ。

 その運用方法が顕著に示されたのが、グループステージ第2節のポルトガル戦だった。この試合でドイツが記録した4ゴールは、いずれも相手ボックス内におけるキミッヒもしくはゴセンスのプレーによって生み出されている。

 ただし、この試合のポルトガルの先制点のように、両WBが高い位置をとる時は、カウンターからピンチを招きやすい傾向は否めない。他チームの3バックに比べて5バックになる時間は確かに短いが、ゴセンスとキミッヒのポジショニングによって試合の趨勢が大きく左右されるのが、良い意味でも悪い意味でも特徴になっていた。

 ベルギーとオランダも、WBを務める選手の攻撃的特性によって成立している攻撃型3バックだが、自陣で守る時には躊躇なく5バックを形成するのが特徴だ。どちらもグループステージでは対戦相手との力関係もあり、3バックを攻撃的に機能させることができていたが、両WBが高い位置をとろうとするドイツほど攻撃的ではない。

 オランダで言えば、右WBのデンゼル・ドゥムフリース、ベルギーでは左のトルガン・アザールがより攻撃的な役割をこなし、逆サイドのパトリック・ファン・アーンホルト(オランダ)、ティモティ・カスターニュやトマ・ムニエ(ベルギー)は、4バック時にSBでプレーできる選手だけに、守備的な仕事が占める割合が多いからだ。

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