ユーロ新勢力図。フランス、イングランド...1年延期の恩恵を受けるのは?

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AP/AFLO

◆久保建英より若い逸材も。ユーロ2020大注目のヤングスター4人

 ブックメーカーが2番手に推すのは、ロシアW杯でベスト4入りしたイングランドだ。この国もこの1年で若手が成長。1年前に開催されていたら、メンバーに選出されていたかどうか微妙な選手が複数いる。リース・ジェームス、メイソン・マウント(ともにチェルシー)そして、フィル・フォーデン(マンチェスター・シティ)だ。

 中でも今季のCLで存在を示した左利きの左ウイングは、ユーロでも注目の選手になるだろう。バルサ、レアル・マドリード、バイエルンといった超名門クラブで活躍する大物を最近輩出していないイングランドだが、フォーデンはその有力な素材。大会でどこまで名を売ることができるか。

 一方、悪い意味で開催が1年遅れた影響を受けたのが、セルヒオ・ラモス(スペイン/レアル・マドリード)、フィルジル・ファン・ダイク(オランダ/リバプール)だ。

 セルヒオ・ラモスは今季、たび重なるケガに見舞われた影響で、今回の大会メンバーから漏れることになった。ファン・ダイクは2019年のバロンドールの投票で、リオネル・メッシにわずか7票差で2位に泣いた欧州最強のディフェンダーながら、こちらも今季初めに負った右膝のケガで、その後ピッチに戻れずにいる。

 ブックメーカーの予想に戻れば、現在、ロシアW杯覇者のフランスを抑え、FIFAランキングで首位を行くベルギーは、微妙なポジションにいる。3位に輝いたロシアW杯をピークと見るか、高位安定と見るか、やや下降と見るか、難しいところだ。ロシアW杯で予選落ちした隣国でライバル国のオランダが示すような、上昇ムードにはないと見る。

 そのオランダは、かつてのチームに見られた小国のメンタリティが、健在かどうかがポイントだ。

 W杯で準優勝3回、ベスト4が2回という代表チームの実績と、国内リーグの規模に、欧州で最も差がある国。かつてのオランダには、代表チームの活躍で、存在感を発揮しようというモチベーションがあった。国家として、攻撃的なサッカーにこだわる理由でもあった。そうしたモチベーションはいまなお健在なのか。

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