ユーロ新勢力図。フランス、イングランド...1年延期の恩恵を受けるのは? (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • photo by AP/AFLO

 その初代覇者(2018-19大会)は、ユーロ2016で初優勝を飾ったばかりのポルトガルだった。決勝の舞台が完全アウェーだったユーロ2016とは対照的に、ポルトのエスタディオ・ドラゴンが、決勝戦の舞台となったこともプラスに作用した。昇り調子のオランダを1-0で下し、欧州で「連覇」を達成している。

 ネーションズリーグは現在、第2回大会が進行中で、イタリア対スペイン、フランス対ベルギーの準決勝戦が、2021年10月に控えている。

 このネーションズリーグの成績は、ユーロ2020を占おうとしたとき、重要な指標になる。すなわち、第1回大会ファイナリストのポルトガル、オランダ、第2回大会ベスト4のイタリア、スペイン、フランス、ベルギーは、有力な優勝候補に挙げられる。それにチャンピオンズリーグ(CL)で好成績を挙げたプレミアのクラブに人材を多く輩出しているイングランド、強国ドイツ、2018年W杯準優勝国クロアチアを加えた9カ国の中から、優勝国は生まれるとみて間違いない。

 ブックメーカー各社の予想を総合すれば、本命に推されているのはフランスだ。前回ユーロの準優勝国にして2018年ロシアW杯の優勝国。申し分のない実績を誇る。

 フランスには、開催が1年延びたことによる恩恵も期待できる。2015年以降、フランス代表から外れていたカリム・ベンゼマが、ユーロのメンバーに加わったからだ。その間、レアル・マドリードの看板選手としてCLやスペインの国内リーグでは、活躍を続けてきたお馴染みの顔だが、フランス代表のユニフォーム姿を見るのは、懐かしいというか新鮮だ。

 キリアン・エムバペも、この延期が吉と出そうな選手だ。当初の陸上選手風情から、1年1年、身のこなしがサッカー選手らしくなっているスピードスター。パリ・サンジェルマンに所属する将来のバロンドール候補が、ベンゼマ、アントワーヌ・グリーズマンというレアル・マドリード、バルセロナ所属のスター選手と3トップを張る姿はどんなものか。好奇心はそそられる。

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